Transixを提供するインターネットマルチフィード社がTransixサービス向け「IPv4固定IPアドレス」サービスの提供を開始しました。
Transix本来のサービスとしてIPv4アドレスの変換(NAT)はVNE側で行う「NATステートフル」の特徴がありますが、Transix向けIPv4固定アドレスサービスを利用することで利用者宅設置のルーターにIPv4固定アドレスが付与されることになり、外部ネットワークから自宅機器への自由なアクセスや65535全ポートの開放・フォワーディングが可能となります。
transixサービスにおけるIPv4接続(固定IP)の提供開始について | インターネットマルチフィード
TransixサービスにおけるIPv4固定アドレスサービス
サービスの概要
「Transix向けIPv4固定アドレスサービス」はフレッツ光の夜間の速度低下を迂回する高速通信サービス「Transix」の高速通信はそのままに、自宅ルーターにIPv4固定アドレスを付与してくれるサービスです。
通常のTransixサービスでは自宅ルーターに付与されるIPv4アドレスは最大512人で共有しており、自宅ルーターに割り振られるIPv4ポートは128個となります。
「Transix向けIPv4固定アドレスサービス」を利用することで、自宅ルーターにあなた専用のIPv4アドレスが付与され、65535すべてのIPv4ポートが利用できるようになります。
※もちろんTransix本来の高速通信はそのまま利用可能です。
提供方式
Transix向けIPv4固定アドレスサービスは開発元のインターネットマルチフィードが直接提供するのではなく、エンドユーザーへTransixサービスを提供するISP事業者を介して提供されます。
このため、Transixをご利用ならすべてのユーザが「Transix向けIPv4固定アドレスサービス」を利用できるのではなく、ご利用のISP事業者が「Transix向けIPv4固定アドレス」のサービスを提供している必要があります。
何ができるようになる?
Transix環境において「IPv4固定アドレスサービス」を利用するとなにができるようになるのか?を一例としてみてみましょう。
Transixの高速通信環境下でIPv4固定アドレス
Transixやv6プラスなどの高速通信サービスは複数のユーザーでIPv4アドレスを共有します。
このため、外部ネットワークから自宅へのアクセスができないとか、自宅ルーターの特定ポート開放・フォワーディングができない、などの利用上の問題が発生してしまいます。
Transix向けIPv4固定アドレスサービスを利用すると、Transix本来のフレッツ光高速通信はそのままで、従来PPPoE通信と同様なIPv4アドレス利用が可能となります。
外部ネットワークからのアクセスができる
IPv4固定アドレスが自宅ルーターに付与されるため、外部ネットワークから自宅へのアクセスが自由になります。
サーバー公開やウェブカメラの利用、VPN接続など、今までTransixやv6プラスでは利用できないと言われていたような使い方もできてしまいます。
すべてのポート開放・フォワーディング
Transixの標準サービスでは自宅ルーターに付与されるIPv4ポートは128個です。
これはTransixサービスでは複数人で1個のIPv4アドレスを共有するためです。
Transix向けIPv4固定アドレスサービスを利用すると、あなた専用のIPv4固定アドレスが付与されるため、65535個のすべてのIPv4ポートが利用できるようになります。
ポート開放やポートフォワーディングが自由になります。
固定IPv4アドレスと変動IPv4アドレスが利用できる
Transix向けIPv4固定アドレスサービスを利用すると、ルーターの設定により「IPv4固定アドレスを使う・使わない」の設定ができます。
Transixの本来の特性としてルーターを再起動するとIPv4共有アドレスを変更できる、という特徴があります(v6プラスの場合はIPv4アドレスは変更できない)。
このことから「IPv4固定アドレスを使わない」設定により、匿名掲示板利用時などのIPv4アドレスを変更することができます。
また「IPv4固定アドレスを使う」設定により、外部ネットーワークから自宅への接続利用やIPv4任意ポートの開放・フォワーディングができるようになります。
「固定IPv4アドレス」と「変動(共有)IPv4アドレス」を使い分けることができます。
マインクラフトのマルチサーバー公開ができる
つまり、たとえばマインクラフトのマルチサーバーを自宅サーバーとして構築し、Transixの高速通信環境においてマルチサーバーを公開する、という使い方もできます。
IPv4 over IPv6は従来のPPPoE接続とはすこしIPv4アドレスの使い方が違うため、サーバー公開などを利用していた人にとってはちょっと使いにくい通信サービスになりますが、「Transix向けIPv4固定アドレス」サービスを使えばフレッツ光高速通信はそのままで、今までのPPPoE通信と同じようなサービス利用ができます。
注意!IPv4アドレスは1個だけ
PPPoE接続でのIPv4固定アドレスは希望すれば複数個のIPv4固定アドレスが提供されます。
自宅のルーターだけでなく、自宅ネットワーク内の機器(公開サーバーなど)にもIPv4固定アドレスを付与することができます。
Transix向けIPv4固定アドレスサービスではIPv4固定アドレスは1個のみ提供となります。
複数個のIPv4固定アドレスは提供されません。
「Transix IPv4固定アドレス対応ルーター」が必要
Transix向けIPv4固定アドレスサービスを利用する場合には対応ルーターが必要です。
現在市販されているほとんどのルーターは「Transix」をはじめとする高速通信サービスにフル対応していますが、「IPv4固定アドレス対応」ルーターはそれほど多くありません。
「Transix対応」だけではIPv4固定アドレスサービスは利用できず、「Transix向けIPv4固定アドレス対応ルーター」が必要です。
Transix向け「IPv4固定アドレス」対応のルーター
「Transix対応ルーター」だけでは使えないので注意!
現在市販されているルーターはほとんど「Transix」をはじめとするIPv4 over IPv6高速通信サービスには対応していますが、「Transix向けIPv4固定アドレス」を利用する場合には「Transix対応」かつ「IPv4固定アドレス対応」のルーターが必要です。
現時点(2020年8月)で「Transix向けIPv4固定アドレス」サービスに対応しているルーターは以下のようになります。
メーカー | 機種 |
---|---|
Allied Telesis | AT-AR3050S AT-AR4050S |
CENTURY SYSTEMS | NXR-G260 |
Cisco Systems | C1111-4P |
ELECOM | WMC-2LX-B WMC-DLGST2-W WRC-X3200GST3-B WRC-2533GST2 WRC-2533GS2-B WRC-2533GS2-W WRC-1167GST2 WRC-1167GS2-B WMC-X1800GST-B WMC-M1267GST2-W |
NEC | UNIVERGE IX2106 UNIVERGE WA2610-AP |
ヤマハ | RTX830 RTX1210 NVR510 NVR700W |
古河電工 | FITELnet F70 FITELnet F71 FITELnet F220 FITELnet F221 |
transix IPv4接続(固定IP) | インターネットマルチフィード
現実的には「ELECOM(エレコム)」のルーターから選ぶ
上記の対応ルーターを見るとわかるように、ほとんどが業務用の高性能ルーターです。
一般の利用者が個人ユースで利用する場合にはちょっと高額で設定等の操作が難しいルーターばかりです。
一般の利用者が選ぶ場合には現実的にはELECOM(エレコム)のルーターから選ぶことになるでしょう。
無線LAN親機 (Wi-Fi/無線LANルーター) | ELECOM
どのルーターを選べばいい?
「Transix向けIPv4固定アドレス」サービス対応のルーターは多くが業務用の高性能ルーターであり、一般ユーザーが使う場合にはエレコム製から選ぶことになります。
高速Wi-Fi「Wi-Fi6対応」ならWRC-X3200GST3-B
とにかく速くて高性能!なら現在のフラッグシップモデル「WRC-X3200GST3-B」になります。
最新規格「Wi-Fi6」にも対応している高速ルーターです。
Transix対応だけでなく、v6プラス・OCNバーチャルコネクトなど他のIPv4 over IPv6サービスにも対応、さらにIPv4固定アドレスについてもTransix向けIPv4固定アドレスだけでなくv6プラス固定IPv4アドレスにも対応しているモデルです。
IPv4 over IPv6についは万能型ルーターと言えるので、持っていて損はないでしょう。
汎用モデルなら「WRC-1167GS2-B」
汎用的な価格帯でのモデルなら「WRC-1167GS2-B」になります。
大体6,000円~7,000円程度で購入できるもっとも普及帯のルーターになります。
WRC-1167GS2-BもWRC-X3200GST3-Bと同様、高速通信についてはフル対応の万能型ルーターになります。
Transix対応だけでなく、v6プラス・OCNバーチャルコネクトなど他のIPv4 over IPv6サービスにも対応、さらにIPv4固定アドレスについてもTransix向けIPv4固定アドレスだけでなくv6プラス固定IPv4アドレスにも対応しているモデルです。
IPv4 over IPv6についは万能型ルーターと言えるので、持っていて損はないでしょう。
Transix向け「IPv4固定アドレス」対応のプロバイダー
Transix向け「IPv4固定アドレス」サービスはTransixを提供するISP事業者を通じて提供されます。
現在「Transix向けIPv4固定アドレス」サービスを提供しているISP事業者とサービス内容は以下の通りです。
インターリンク「ZOOT NATIVE」
INTERLINKが提供するフレッツ光接続サービス「ZOOT NATIVE(ずっとネイティブ)」にて、Transix向けIPv4固定アドレスサービスが提供されています。
「ZOOT NATIVE」はフレッツ光コラボではなく、通常のフレッツ光接続サービス(プロバイダーサービス)のみなので、別途フレッツ光回線またはPPPoE接続でのフレッツ光コラボサービスが必要です。
ZOOT NATIVEの利用料金
ZOOT NATIVEの利用料金は以下のようになります。
初期費用 | 無料 |
---|---|
解約費用 | 無料 ※契約期間なし ※解約時違約金なし |
月額費用 ※Transix通常コース |
1,100円/月 ※別途フレッツ光回線が必要 ※Transix標準対応 |
月額費用 ※Transix固定IPアドレスコース |
2,200円/月 ※別途フレッツ光回線が必要 ※Transix標準対応 |
Transix固定IPアドレスサービスを利用する場合には「固定IPアドレスコース」の利用となります。
すでにZOOT NATIVE(Transix通常コース)をご利用の方が固定IPアドレスを利用したい場合には一度通常コースを解約して固定IPアドレスコースへの新規申し込みとなります。
ただし、ZOOT NATIVEでは「利用期間なし・解約違約金なし・初期費用なし」なので実質的にはコース変更によって不要な費用が発生することはなく、月額料金が変更されるだけで固定IPアドレスを利用できるようになります。
Transix対応の接続サービス
ZOOT NATIVEはTransix標準装備のフレッツ光接続サービス(プロバイダーサービス)です。
フレッツ光コラボではないため、別途フレッツ光回線契約または(PPPoE接続の)フレッツ光コラボ契約が必要です。
初期費用なし、解約違約金なし
ZOOT NATIVEは初期費用なしで、申し込みから最短1時間で利用可能となります(フレッツ光回線は別契約です)。
なので使いたいときにすぐにでも使えるサービスです。
また、契約期間の縛りもありませんので解約時の違約金などもありません。
使ってみて期待に沿わない場合にはいつでも解約することができます。
すぐに使えていつでも無料で解約できる、という非常に便利なサービスになっています。
Transix向けIPv4固定アドレスコース
かつてはZOOT NATIVEではTransix固定IPアドレスサービスは標準サービスの追加オプションとして提供されていましたが、現在は標準コースと固定IPアドレスコースの別コースとして分かれています。
※料金は変更ありません。
よって現在Transix標準コースをご利用の方が固定IPアドレスを使いたい、またはその逆で固定IPアドレスを廃止したい、という場合には現在のコースを解約し新コースを契約するという手順になります。
ただし上記で述べたようにZOOT NATIVEでは「契約期間なし・解約違約金なし・初期費用なし」なので「解約→新規契約」であっても無駄な費用なし・使えない期間無しで「解約→新規契約」が可能です。
Transix対応ルーターが必要
ZOOT NATIVEは標準でTransix対応、オプションでTransix向けIPv4固定アドレス対応です。
ZOOT NATIVEではこれらの対応ルーターを提供していません。
よって、標準利用ではTransix対応ルーターが必要、さらにオプションのIPv4固定アドレスを利用するなら「Transix向けIPv4固定アドレス対応ルーター」が必要です。
対応ルーターはご自分で用意する必要があります。