UGREEN NASyncのクラファン大成功の裏側でMinisforumがすごいNASキット(?)「Minisforum N5 Pro」を発表したなぁ!と思っていたら、同じミニPCのメーカーAOOSTARからもとんでもないDIY NASキットが発売されていました。
AOOSTAR WTR Max・・・です。
AOOSTAR WTR Max | AOOSTAR BLOG
すでに欧州では発売されていて(2025/5/10)お値段699USDなので現在の為替レートだと日本円でだいたい10万円ほどになります。
AOOSTAR WTR MAX AMD R7 PRO 8845HS 11 Bays Mini PC | AOOSTAR Online Shop
日本国内からはまだ購入することができませんが、そのうちAmazon(Japan)で購入できるようになるでしょう。
Minisforum N5 PROもメッチャ欲しいけどこれ(AOOSTAR WTR Max)もこれ欲しいなぁ・・・
本記事ではネット上のAOOSTAR WTR Max情報をかき集め、UGREEN NASync DXP6800 ProおよびMinisforum N5 Proと比較しながら物欲を高めていきたいと思います。
UGREEN NASync対抗馬になる?AOOSTAR WTR Max発売開始
AOOSTARというブランドは日本国内でもミニPCを製造・販売しているメーカーブランドとして結構(?)有名です。
Amazon(Japan)などでも購入できます。
AOOSTARはもう2年近く前に「AOOSTAR WTR R7 PRO」という結構すごいDIY NAS向けのPCを発表し、海外フォーラムではかなり話題となりました。
しかし、その後発売予定日を過ぎても発売されず、フェードアウトしていきました・・・・・
今回発表そしてすでに2025年5月より欧米向けに出荷が始まったAOOSTAR WTR MAXはこのAOOSTAR WTR R7 ROをさらにパワーアップしついに発売にこぎつけた製品といえます。
AOOSTAR WTR Maxの魅力
AOOSTAR WTR Maxはこのように日の目を見ることのなかったAOOSTAR WTR R7 PROの後継機であり、以下の点がポイントです。
- 高性能CPU AMD Ryzen 7 PRO 8845HS搭載
- ECC対応メモリ最大128GB
- 6つの3.5/2.5インチHDD/SSD搭載可能(ホットスワップ対応)
- 加えて5枚のM.2 NVMeストレージを搭載可能
- 2×10GbE(SFP+)と2×2.5GbE(RJ45)のネットワーク
- これだけのスペックでお値段699USD(約10万円)
圧倒的な高コスパのDIY NASキット
と、まぁこのようにこれまでのSynologyやQNAPなどのNASキットに対して圧倒的なコスパの高い製品となっているのですが、発表・発売の時期が悪くUGREEN NASyncのクラファンの陰に薄れてしまっている印象です。
AOOSTAR WTR Maxはすでに2025年5月より欧米向けに出荷が開始されています。
ベアボーン(RAMなし/ストレージなし)モデルで699USDで発売され、現在(2025年5月時点)で1USD=145JPY程度なので日本円だとちょうど10万円程度になります。
対してUGREE NASync DXP6800 Proが標準販売価格で16,9800円なので「より高性能、より安価」な製品と言えます。
独自OSは搭載されていない!TrueNASなどで利用する
ただし、UGREEN NASyncと違い独自OSは搭載されておらず、Windows/Linuxをインストールして使うことになっています。
UnRAIDやTrueNASそしてOpenMediaVaultをインストールして使う、という形態ですね。
もちろん仮想サーバーのProxmoxも動作するようなので「大容量のNAS機能を持たせた仮想サーバー」として構築してもおもしろいですね。
日本で購入できるのか?
AOOSTAR WTR MaxはAOOSTARの公式オンラインショップで先行予約を受け付け、すでにその分の出荷が2025年5月10日から始まっています。
現在は公式オンラインショップでも「完売」で予約受付を停止しており、購入することはできません。
海外のフォーラムやYouTubeではボチボチレビューが上がってきており、生産が落ち着いてくると公式オンラインショップでの販売再開となる見込みです。
また、日本国内でもAOOSTARはAmazon(Japan)で公式ストアを展開しているので、Amazon(Japan)でも購入できるようになるかな?という感じです。
AOOSTAR WTR Max仕様
それでは、AOOSTAR WTR Maxのこまかい仕様をみてみましょう。
ハードウェア仕様
まず、ハードウェア仕様は以下のようになります。
CPU | AMD Ryzen 7 PRO 8845HS 8Core/16Threads |
---|---|
メモリー | DDR5 SODIMM×2 ※ECC対応/最大128GBまで |
ストレージ | 6×3.5/2.5インチSATA HDD/SSD(ホットスワップ対応:#1~#6Front-Slot) 1×M.2NVMe(2280/PCIe4.0×2:On-Board) 2×M.2NVMe(2280/PCIe4.0×2:#0Front-Slot) 2×M.2NVMe(2280/PCIe4.0×1:#0Front-Slot) |
PCIe拡張 | 1×PCIe×16(PCIe4.0×4) 1×OCuLink4i(PCIe4.0×4) |
ネットワーク | 2×10GbE(SFP+) 2×5GbE(RJ45) |
インターフェース | 3×USB3.2Gen2 Type-A(10Gbps)/前面1:背面2) USB3.2Gen2 Type-A(10Gbps)×1(内部) 1×USB2.0(背面) 2×USB4 Type-C(40Gbps)/前面 |
1×3.5mmオーディオジャック 1×HDMI |
|
電源 | DC-In 19V/12.63A |
発売予定日 | 2025/5/10 |
参考価格 | 699USD(ベアボーンモデル) ※約10万円 |
OS | OSなし |
まずは「お値段10万円!?」
まず最初に一番大事なお値段ですが、先行販売での販売価格は699USD(米ドル)となります。
2025年5月時点での為替レートは1ドル=145円くらいなので、日本円だとちょうど10万円くらいになりますね。
なお、製品にはRAM(メモリ)やHDD/SSDは搭載されていませんので注意!
また、独自のOSも提供されません(TrueNASとかProxmoxなんかをインストール)。
これで何やるの?超高性能CPUとメモリ
AOOSTAR WTR MaxにはAMD Ryzen 7 PRO 8845HS(8Core/16Threads)が搭載されています。
メモリも2つのDDR5-SODIMが搭載可能、ECC対応の最大128GBです。
NASでこんな高性能CPUを何に使うのでしょうか?NASとしての利用に加えて仮想マシンもDockerもインストールし放題(?)できるスペックです。
Minisform N5 Proと比較
「これ、何に使うの?」とレビューされているMinisforum N5 Pro搭載のAMD Ryzen AI 9 HX370と比較してみましょう。
AOOSTAR WTR Max | Minisforum N5 Pro |
---|---|
AMD Ryzen 7 Pro 8845HS | AMD Ryzen AI 9 HX370 |
両者のパフォーマンス比較は以下のようになります。
AMD Ryzen 7 PRO 8845HS vs AI 9 HX370 | CPU Monkey
UGREEN NASync DXP6800 Proと比較
クラウドファンディングの大成功で一気に知名度が上がってきたUGREEN NASyncの日本国内販売分での最上位機種であるUGREEN NAsync DXP6800 Proと比較してみます。
AOOSTAR WTR Max | UGREEN NASync DXP6800 Pro |
---|---|
AMD Ryzen 7 Pro 8845HS | Intel i5-1235U |
UGREEN NASync DXP6800 Proの国内販売価格(通常販売価格)は169,880円(税込み)です。
※クラファンでは最大40%割引
一方でAOOSTAR WTR Maxは699USD(約10万円)です。
この価格差で搭載CPUの性能差は以下のようになります。
AMD Ryzen 7 PRO 8845HS vs Intel i5-1235U | CPU Monkey
CPU性能差だけを見るとAOOSTAR WTR Max Proの圧倒的な高性能がわかります。
Ryzen 9 8945HS搭載モデルもある?
現在AOOSTAR公式サイトで発表されている(そしてすでに発売されている)モデルはRyzen 7 8845HS搭載ですが、Redditなどでは「Ryzen9 8945HS搭載モデルも準備されている」という情報もあります。
本当かなぁ?と思いますが、両者にはあまり性能差がないようなので気にする必要はないかなと思います。
圧巻の11ストレージ
AOOSTAR WTR Maxの最大の特徴は「最大11ストレージ搭載可能」という拡張性です。
6つの3.5/2.5インチHDD/SSDと5つのM.2NVMeが搭載可能です。
6 × 3.5/2.5インチHDD/SSD | フロントパネル(#1~#6) |
2 × M.2NVMe(PCIe4.0×2) | フロントパネル(#0)基板上 |
2 × M.2NVMe(PCIe4.0×1) | |
1 × M.2NVMe(PCIe4.0×2) | オンボード |
オンボードM.2 NVMe(PCIe4.0×2)
オンボード(基板上)に1つの「M.2 NVMe(2280)」スロットが搭載されています。
使用するOSをインストールするシステム領域として使えますね。
フロントスロットに4×M.2 NVMe
フロント面には3.5/2.5 HDD/SSD用のスロットが7つ(#0~#6)ありますが、そのうち#0スロットはM.2 NVMe搭載用基板のスロットとなります。
この基盤(#0スロット)に4枚のM.2 NVMe(2280)が搭載できます。
2枚のPCIe4.0×2と2枚のPCIe4.0×1の合計4枚となります。
帯域幅が異なるので(×2と×1)搭載時に使い分けましょう。
※どこに刺しても動きますが・・・
フロントスロットストレージ
フロントスロットの#1~#6にはそれぞれ1基の3.5/2.5インチHDD/SSDが搭載できます。
最大で6基のストレージ搭載可能となり、すべてホットスワップ対応です。
OCuLinkも使える!外部インターフェース
外部インターフェース | 1 × OCuLink (PCIe4.0×4)/ホットスワップ非対応 |
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1 × USB4 2 × USB3.2 Gen2 1 × USB3.2 Gen1 1 × USB Type-C |
|
1 × HDMI2.1 1 × DisplayPort 1 × 3.5mmオーディオ 1 × MicroSDカード |
AOOSTAR WTR Maxには外部インターフェースとしてOCuLink(PCIe4.0×4)が1基搭載されています。
AOOSTAR WTR MaxをデスクトップPCとしてゲームで使いたい!とか画像・動画のエンコードをやりたい!という場合にはOCuLinkを使って外部GPU接続することもできます。
AOOSTARではOCuLink接続によるドッキングステーションもオプション販売しています。
OCuLinkポートは内部のPCIeを外部へ出すだけのポートなので、グラフィックボード以外でもPCIe接続デバイスなら何でも利用することができます。
OCuLinkはPCIe4.0×4接続、他ポートとの排他利用なし(?)
AOOSTAR WTR MaxのOCuLinkポートは「PCIe4.0×4」インターフェースである点に注意してください。
※PCIe4.0×16のボードを搭載可能であっても帯域幅は×4になります。
また、(おそらく・・・ですが)OCuLinkポートと他インターフェースとの排他利用/共有利用などの制限もありません。
AOOSTAR WTR Maxには5つものPCIe4.0接続のNVMeスロットがあり、2つはPCIe4.0×1接続、残り3つはPCIe4.0×2接続です。
これにより、利用するサードパーティOS(TrueNASやOpenMediaVaultなど)の機能範囲内によるRAID構築に加えて高速NVMeによるキャッシュストレージの仕組みも構築できます。
そして、さらにOCuLinkもPCIe4.0×4の制限なしで外部拡張カードを利用できる、という点が特徴です。
さらにUSB4.0ポートも搭載
OCuLinkポートに加えて、加えてUSB4.0インターフェースも1基搭載しています。
最大40Gbpsの超高速データ転送機能が使えるので、AOOSTAR WTR Maxの大容量ストレージをUSB4.0接続の外部ディスクへ超高速バックアップなどの仕組みも作れます。
3つのディスプレイ出力
AOOSTAR WTR Maxには3つの4K対応ディスプレイ出力端子があります。
1×HDMI2.1/1×DP/1×USB4.0です。
3つのディスプレイ同時出力が可能、さらにUSB4.0ポートでは電力供給(PD)もサポートされているのでUSB4.0ケーブル一本でディスプレイ出力/電力供給も可能です。
充実のネットワークI/F、DIYルーターも作れる!?
ネットワーク I/F |
2 × 10GbE (SFP+ / Intel X710) |
---|---|
2 × 2.5GbE (RJ45 / Intel I-226V) |
ネットワークインターフェースもてんこ盛りです。
2つの10GbE(SFP+)と2つの2.5GbE(RJ45)が搭載されており、NASの高速データ転送にも対応できます。
また、4つの高速インターフェースが搭載されていることから、DIY NASだけでなくDIYルーターとして使うこともできますね。
Proxmoxを使って仮想サーバー化し、仮想マシンとしてOpenWrtやPfSenseなどでルーター化し10GbE対応自宅ルーターとして使うこともできます。
なお、10GbE側のインターフェースはSFP+である点に注意、どこかでRJ45への変換が必要となります。
こんなコネクターですね。
まとめ、これはTrueNASにおすすめですよね!
AOOSTARは2023年にAOOSTAR WTR R7 PROという新製品を発表(発表だけ)しています。
AOOSTAR WTR R7 PRO | AOOSTAR Blog
当時は海外フォーラムなどで結構話題となりましたが、いろいろあったみたいで結局発売されずにフェードアウトしました。
そして、今回発売されたAOOSTAR WTR Maxは仕様的にもこのAOOSTAR WTR R7 Proの後継機(?)となります。
あのまま製品化されていたらUGREEN NASyncのクラウドファンディングもかなり影響あったのかもしれませんね・・・、それほどすごい!
TrueNAS(ZFS)に最適のNASキット?
巷ではNASと言えばUnRAIDかTrueNAS、日本国内だとTrueNASですよね。
しかし、私は軽くて非力なPCでもサクサク動作するOpenMediaVault推しです。
でもこのAOOSTAR WTR MaxならぜひTrueNAS Scaleで使ってみたいですね。
最新のNPUとECCメモリ搭載、6本のHDD/SSDに加えて5本ものM.2 NVMeも搭載可能です。
これほどのスペック(しかもお値段10万円)ならZFSを使い倒してみたいです。
※ZFSむつかしすぎてよくわかりませんが・・・
コスパならUGREEN NASyncを超えている!?
UGREEN NASyncがクラファン大成功で盛り上がっています。
大方の評価としては「コスパ最高!」という点が評価されているようです。
しかし、AOOSTAR WTR Maxと同等スペックがUGREEN NASync DXP6800 Proに当たりますが、コスパならAOOSTAR WTR Maxのほうがさらに高いように思えますね。
Minisforum N5 Proも登場!DIY NASキットが面白い!
そして最強(?)のDIY NASキットと思われるMinisforum N5 Proも発売を控えています。
CPU性能だけならAOOSTAR WTR Maxをさらに凌駕するAMD Ryzen AI 9 PRO HX370搭載のDIY NASキットです。
さらにECCメモリ最大96GB搭載可能でこちらもエンタープライズレベルのNASキットだと言えます。
AOOSTAR WTR Maxと異なる点として、Minisforumの独自OS「MinisCloudOS(ミニクラウドOS)」が提供されるらしく、ZFSベースのファイルシステムが搭載されているようです。
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