I-Oデータの法人向けストレージサーバー「HDL-Z4WQ」をジャンク品で入手しました。
※ジャンク品だけどちゃんと動きました。
この製品、3.5インチディスクが4本搭載できて標準搭載のWindows Storage Server 2016でRAID構成されています。
面白いのは、4本のディスクを使って「システム領域をRAID1(Disk0&Disk1)」「データ領域をRAID5(Disk0&Disk1&Disk2&Disk3)」というRAID構成になっていることです。
つまり4本のディスクを使ってシステム領域(RAID1)とデータ領域(RAID5)を共存させて構築されているわけです。
製品のリカバリーディスクを使えば簡単にこの構成が構築できます。
本記事では製品のリカバリーディスクを使わずにこのRAID1とRAID5の共存構成を再現してみました。
つまり、製品(HDL-Z4EQ)以外のハードウェア/ソフトウェアでも同じ構成を実現する手順書、となります。
I-Oデータ HDL-Z4WQシリーズのディスク構成
ちょっと古いI-Oデータの法人向けWindowsストレージサーバー(NAS)「HDL-Z4WQ」を入手しました。
オークションサイトで最安3,000円での落札、付属品(ACアダプタ)なしだったのでこれも互換品を1,500円で落札の合計4,500円でした。
こんなやつです。
2ベイモデルと4ベイモデルがありますが、私が入手したのは4ベイモデルです。
Windows Storage Server 2016標準装備で4ベイのストレージスロット(ホットプラグ対応)が搭載されている以外にOS起動用のドライブはありません。
本製品はI-Oデータのサポートサイトにユーザー登録・製品登録することでリカバリーツールをダウンロードすることが可能、OSインストール(リカバリー)後には以下のようなディスク構成になっています。
上図はHDL-Z4WQをリカバリー後のRAID再構築時の状態です。
システムドライブはRAID1(ミラー)
HDL-Z4WQシリーズは4ベイのドライブスロット以外にストレージを搭載することはできません。
※USB3.0のポートが4ポート(前面1/背面2)あるのでUSBハードディスクなどにOSをインストールしてそこから起動することは可能です。
なので、OS(Windows Storage Server 2016)の領域は上図のように、4本のディスク中2本(Disk0/Disk1)のディスクにRAID1構成として構築されます。
データドライブはRAID5(パリティ)
データ領域は4本のハードディスクを使ってRAID5に構築されています。
本製品ではデータ領域を「RAID5/RAID0」のどちらかを選ぶことができますが、上図ではRAID5で構築している状態となります。
リカバリーツールに頼らず同じ構成を再現したい
このように、HDL-Z4WQリカバリーツールを使えば4台のハードディスクにRAID1領域(システム領域)とRAID5領域(データ領域)を共存できる環境をきれいに作ってくれます。
また、ディスク障害時の交換手順についても手順と仕組み(ツール)が確立されています。
本記事の目的はこのRAID1/RAID5の共存環境を独自に(手動で)構築し運用する手順を確立することです。
他のマシンでも使える
手順を確立することで、HDL-Z4WQ以外のハードウェアでも同様のRAID1/RAID5共存環境を構築することができます。
本記事では手順確立および検証用として、仮想マシン環境(Proxmox)でWindows Server 2022を使って環境構築してみました。
他のOSでも使える
HDL-Z4WQに搭載されているOSはWindows Storage Server 2016です。
サポートはすでに終了していますが、延長サポートが2027年1月まで提供されており、まだまだ現役と言えます。
しかし、本手順を確立することで最新のOSやWindows11などのクライアントOSでもRAID1/RAID5共存環境を構築することができます。
また、応用編としてTrueNASやOpenMediaVaultなどLinux系のOSでも同様に「4台のハードディスクにRAID1/RAID5を共存」させる環境を構築できるかもしれません。
※Linux系OSでの構築手順は別記事にて公開予定
※(追記)TrueNASは仕様上共存できません(OpenMediaVaultなら可能)
本記事でやりたいこと
本記事でやりたいこと(目的)は以下のようになります。
- 上図と同じディスク環境の構築手順確立
- ディスクが壊れた場合のリカバリ(交換)手順確立
- 上記2点をHDL-Z4WQのリカバリツールを使わずにやる
要するに、HDL-Z4WQがRAIDのリカバリツールを使って実現している上図のディスク構成(RAID1とRAID5の共存)を手作業でやってみる、ということです。
最新のOS(Windows)を導入したい
HDL-Z4WQシリーズはOSとしてWindows Storage Server 2016を搭載しており、このOSを含めてシステムリカバリーツールが提供されています。
この環境で使う場合、ディスク構成の初期構築や障害時の再構築はすべてリカバリーツールに任せることができます。
しかし、最新のOS(Windows Server 2022やWindows11など)を導入した場合とか、HDL-Z4WQ以外のハードウェア上でも同様のディスク構成(RAID1/RAID5共存)を実現したい、と思っています。
本記事の前提条件
本記事ではディスク構築(RAID1/RAID5共存)およびディスク障害時のディスク交換手順を確立することが目的です。
よって、まずは仮想マシン(Proxmox配下のWindows Server 2022)で手順確立し、その時の手順および画面コピーを使用しています。
※HDL-Z4WQ実機での確認も行っています。
実機(HDL-Z4WQ)環境と検証(仮想マシン)環境の違いは以下のようになります。
HDL-Z4WQ(実機) | 仮想マシン | |
---|---|---|
搭載ディスク | 4TBハードディスク×4本 | 150GB仮想ディスク×4本 |
システム領域 | 約100GB/RAID1 ※リカバリーツールによる |
50GB/RAID1 |
データ領域 | 約3.9TBGB/RAID5 ※リカバリーツールによる |
100GB/RAID5 |
RAID1/RAID5共存環境のディスク初期構築手順
このように、I-Oデータの「HDL-Z4WQ」では4本のハードディスクを使って「システム領域をRAID1で冗長化」「データ領域をRAID5で冗長化」という構成を実現しています。
リカバリーツールが提供されているので、これを使えば簡単に初期構築および障害児のディスク交換もできてしまいます。
本記事ではこの「HDL-Z4WQ」を参考に、Windows系OSで同じように「システム領域をRAID1」「データ領域をRAID5」を共存させるディスク構成の構築手順をまとめます。
構築するディスクイメージ
本記事の目的は「HDL-Z4WQリカバリーツールで構築されたRAID1/RAID5共存環境を再現する」です。
よって、構築後のイメージは以下のディスク構成となります。
また、上記画面では表示されていませんが、各ドライブのパーティションは以下のようになっています(例としてDisk#0)。
ちょっと見にくいので表に抜粋します。
パーティション | タイプ | サイズ(容量) | 利用目的 | 構築タイミング |
---|---|---|---|---|
Partition #1 | システム | 100MB | EFI領域 | 手動で構築 |
Partition #4 | 予約済みダイナミック | 1024KB | ダイナミックディスク管理領域 | OSが勝手に構築 |
Partition #2 | 予約 | 100MB | MSR領域 | 手動で構築 |
Partition #3 | ダイナミックデータ | 97GB | システム領域 ※Cドライブ |
手動で構築 ※またはRAID1構築時 |
Partition #5 | ダイナミックデータ | 3628GB | データ領域 ※Dドライブ |
RAID5構築時 |
各パーティションについて説明します。
Partition#1:システム
Partition#1はEFIパーティションです。
EFI領域にはOSインストール時にOS起動の初期ブート用プログラムが格納されます。
この領域はサイズ(容量)100MBとし手動でパーティション構築します。
Partition#4:予約済みダイナミック
Partition#4はダイナミックディスク管理用の領域です。
本記事ではRAID1/RAID5をダイナミックディスクで実現しますが、本パーティション領域は最初のRAID1作成時にOSが勝手に(自動的に)構築します。
よって手動でのパーティション構築の対象外です。
Partition#2:予約
Partition#2はMSRパーティションです。
MSR領域はOSがパーティション管理のために使用する領域です。
この領域はサイズ(容量)127MBとし手動でパーティション構築します。
Partition#3:ダイナミックデータ
Partition#3はシステムドライブ(OSインストール)のパーティションです(つまりCドライブ)。
HDL-Z4WQリカバリーツールではシステムドライブは97GB(約10,000MB)として割り当てられるようですが、このサイズ(容量)は利用環境に合わせて変更することが可能です。
本記事ではシステムドライブ(Cドライブ)は50GB(約51200MB)として手動でパーティションを構築します。
Partition#:ダイナミックデータ
Partition#5はデータドライブのパーティションです(つまりDドライブ)。
データパーティションは特に容量を指定せず、残り全部の容量として最後にOS上の「ディスクの管理」画面から割り当てます(RAID5構築時)。
手動で構築するパーティション
以上のことから、本記事では手動によるパーティション構築は以下のパーティションが対象となります。
パーティション | タイプ | サイズ(容量) | 利用目的 | 構築タイミング |
---|---|---|---|---|
Partition #1 | システム | 100MB | EFI領域 | 手動で構築 |
Partition #2 | 予約 | 127MB | MSR領域 | 手動で構築 |
Partition #3 | ダイナミックデータ | 50GB ※約51200MB |
システム領域 ※Cドライブ |
手動で構築 ※またはRAID1構築時 |
なお、本記事では手順確立・検証のため仮想環境(Proxmox)を使って作業を行っていきます。
そのため、作業場のパーティションサイズとしては上記のサイズでパーティション構築を行っていきます。
ディスクイメージ構築手順の概要
ディスクイメージ構築に必要なもの
ディスクイメージ構築は4台のハードディスクそれぞれに決まったパーティション構成を構築していきます。
ディスクパーティションの構成はWindowsのOS上からも可能ですが、本記事ではWRE(Windows回復環境)を使ってパーティションを定義していきます。
Windows上からパーティション構成を行うと、OSが自動でパーティションを割り当てる場合があり思った通りのパーティション構成になりません。
このため、OSをいったんシャットダウンし、WRE環境でパーティションを構築していきます。
WRE(Windows回復環境)とは?
WRE環境でマシンを起動するためにはWRE起動ディスクが必要です。
これはOS上で回復ディスクを作成することもできますが、本記事ではインストールするOS(Windows Server 2022)のインストールディスクを使用します。
インストールディスクからの起動直後はWRE環境となっているためです。
ディスクイメージ構築の手順概要
本記事では4本のハードディスクを使ってRAID1/RAID5の共存環境を構築していきます。
そのため、ちょっと手順が複雑になりますがやっていることは4本のハードディスクに対してほとんど同じことをやっているだけです。
構築手順の概要は以下のようになります。
- STEP①Disk#0(起動ディスク)のパーティション構築
1本目のディスク(Disk#0)のパーティションを構築します。本作業はWRE環境にて行います。
- STEP②Disk#0へのOSインストール
1本目のディスクへOSをインストールします。本記事ではWindows Server 2022をインストールしますが、インストール手順は割愛します。
- STEP③Dis#1(RAID1ディスク)のパーティション構築
2本目のディスク(Disk#1)のパーティションを構築します。本作業はWRE環境にて行います。
- STEP④EFI領域のコピー(Disk#0⇒Disk#1)
2本目のディスク(Disk#1)のパーティション構成が完了したら、OSインストール済のディスク(Disk#0)のEFI領域を2本目のディスク(Disk#1)のEFI領域へコピーします。これにより、RAID1構築後には2本目のディスク(Disk#1)からもOS起動ができるようになります。
※1本目のディスク障害時に2本目ディスクより起動ができる
- STEP⑤システム領域のRAID1構築
OSを起動し、「ディスクの管理」画面にてRAID1を構築します。ここまでの手順でシステム領域(Cドライブ)はRAID1にて冗長化されます。
※本記事ではシステム領域(Cドライブ)をRAID1構築しますが、ディスク2本構成などでデータ領域もRAID1とする場合は同時にデータ領域もRAID1構築可能です。
- STEP⑥Disk#2/#3(データディスク)のパーティション構築
3本目(Disk#2)/4本目(Disk#3)のディスクのパーティションを構築します。
※基本的にはDisk#0/Disk#1と同じです。本作業はWRE環境にて行います。
- STEP⑦データ領域のRAID5構築
OSを起動し、「ディスクの管理」画面にてRAID5を構築します。ここまでの手順でシステム領域(Dドライブ)はRAID5にて冗長化されます。
本記事では上記のステップ(STEP)に従って、詳細手順を実施していきます。
STEP① Disk#0(起動ディスク)のパーティション構築
まずはOSをインストールするディスク(Disk#0)のパーティションを構成していきます。
本記事では以下のパーティション構成を想定しています。
パーティション | タイプ | サイズ(容量) | 利用目的 | 構築タイミング |
---|---|---|---|---|
Partition #1 | システム | 100MB | EFI領域 | 手動で構築 |
Partition #2 | 予約 | 16MB | MSR領域 | 手動で構築 |
Partition #3 | ダイナミックデータ | 50GB ※約51200MB |
システム領域 ※Cドライブ |
手動で構築 |
ここで構築するディスク0(Disk#0)は上記のパーティション構成として定義していきます。
まずはWRE環境でマシンを起動します。
本記事ではWindows Server 2022のインストールメディアを使用しました。
インストールメディアから以下の初期画面が起動されたら「Shift + F10」を押下し、コマンドプロンプト画面を開きます。
コマンドプロンプト画面が表示されたら、diskpartユーティリティを起動し、以下の操作でパーティションを構築していきます。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### 接続ディスクの確認 ###
DISKPART>list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナミック GPT
----------- ----------- -------- ------- ----------- ---
ディスク 0 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 1 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 2 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 3 オンライン 150 GB 150GB
### Disk#0を選択 ###
DISKPART>select disk 0
ディスク 0 が選択されました。
### Disk#0を初期化 ###
DISKPART>clean
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
### GPTフォーマットへ変換 ###
DISKPART>convert gpt
DiskPart は選択されたディスクを GPT フォーマットに正常に変換しました。
### EFIパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition efi size=100
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### EFIパーティションはフォーマットしておく ###
DISKPART>format quick fs=fat32
100% 完了しました
DiskPart は、ボリュームのフォーマットを完了しました。
### MSRパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition msr size=16
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### システムパーティション(Cドライブ)の作成(50GB) ###
DISKPART>create partition primary size=51200
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### 作成したパーティションの確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
* Partition 3 プライマリ 50 GB 117 MB
### 終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>Exit
以上でOSインストール用ディスク(Disk#0)のパーティション構築は完了です。
STEP② Disk#0へのOSインストール
引き続き、OSのインストールを実行します。
本記事ではWindows Server 2022をインストールします。
OSインストールの場所確認において、上記のように「作成したパーティションを確認」し、そのうえで「プライマリ」パーティションへOSをインストールします。
OSインストール直後の「ディスクの管理」画面は上図のようになっているはずです。
以上で起動ディスク(Disk#0)の構築は完了です。
続いてRAID1用のディスク(Disk#1)の構築を行います。
STEP③ Dis#1(RAID1ディスク)のパーティション構築
次に起動ディスク(Disk#0)のミラー先となる2本目のディスク(Disk#1)のパーティションを構成していきます。
本記事では以下のパーティション構成を想定しています。
パーティション | タイプ | サイズ(容量) | 利用目的 | 構築タイミング |
---|---|---|---|---|
Partition #1 | システム | 100MB | EFI領域 | 手動で構築 |
Partition #2 | 予約 | 16MB | MSR領域 | 手動で構築 |
Partition #3 | ダイナミックデータ | 50GB ※約51200MB |
システム領域 ※Cドライブ |
RAID1構築時に自動割り当て |
Partition#3の「ダイナミックデータ領域」はRAID1構築時にDisk#0のシステム領域(Cドライブ)がミラー先として自動構築されます。
よって、ここで構築するディスク1(Disk#1)は上記のパーティション構成の中から「Partition#1」と「PartitionE2」を定義していきます。
前回同様、WRE環境でマシンを起動します。
本記事ではWindows Server 2022のインストールメディアを使用しました。
インストールメディアから以下の初期画面が起動されたら「Shift + F10」を押下し、コマンドプロンプト画面を開きます。
コマンドプロンプト画面が表示されたら、diskpartユーティリティを起動し、以下の操作でパーティションを構築していきます。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### 接続ディスクの確認 ###
DISKPART>list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナミック GPT
----------- ----------- -------- ------- ----------- ---
ディスク 0 オンライン 150 GB 99GB *
ディスク 1 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 2 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 3 オンライン 150 GB 150GB
### Disk#1を選択 ###
DISKPART>select disk 1
ディスク 1 が選択されました。
### Disk#1を初期化 ###
DISKPART>clean
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
### GPTフォーマットへ変換 ###
DISKPART>convert gpt
DiskPart は選択されたディスクを GPT フォーマットに正常に変換しました。
### EFIパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition efi size=100
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### EFIパーティションのフォーマット ###
DISKPART>format quick fs=fat32
100% 完了しました
DiskPart は、ボリュームのフォーマットを完了しました。
### MSRパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition msr size=16
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### 作成したパーティションの確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
* Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
### 終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>Exit
以上で2本目のディスク(Disk#1)のパーティション構築は完了です。
STEP④ EFI領域のコピー(Disk#0⇒Disk#1)
2本目のディスクはもう少し手を加えてあげる必要があります。
2本目のディスクはシステム領域(Cドライブ)のミラー先なので、もし1本目のディスクが故障した場合には2本目のディスクからOS起動されなければなりません。
このためにはシステム領域(Cドライブ)のミラー化に加えてシステム起動パーティション(EFIパーティション)を1本目のディスクと同じ構成にしてあげる必要があります。
つまり、ディスク0(Disk#0)のEFI領域をディスク1(Disk#1)のEFI領域へコピーする、という作業が必要です。
EFI領域のコピーは以下の手順で行います。
- Disk#0のEFI領域(コピー元)にドライブ文字”P:”を割り当てる
- Disk#1のEFI領域(コピー先)にドライブ文字”Q:”を割り当てる
- P:からQ:へ丸ごとコピー(xcopyコマンド)
この作業もコマンドプロンプトおよびdiskpartユーティリティを使って行います。
WRE環境でマシンを起動します。
本記事ではWindows Server 2022のインストールメディアを使用しました。
インストールメディアから以下の初期画面が起動されたら「Shift + F10」を押下し、コマンドプロンプト画面を開きます。
コマンドプロンプトが起動したら、操作は以下のコマンドで行っていきます。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### コピー元(Disk#0)を選択 ###
DISKPART>select disk 0
ディスク 0 が選択されました。
### パーティションを確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
Partition 3 プライマリ 50 GB 117 MB
### Partition#1(EFI領域)を選択 ###
DISKPART>select partition 1
パーティション 1 が選択されました。
### ドライブレター「P」の割り当て ###
DISKPART>assign letter P
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に割り当てました。
### コピー先(Disk#1)を選択 ###
DISKPART>select disk 1
ディスク 1 が選択されました。
### パーティションを確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
### Partition#1(EFI領域)を選択 ###
DISKPART>select partition 1
パーティション 1 が選択されました。
### ドライブレター「Q」の割り当て ###
DISKPART>assign letter Q
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に割り当てました。
### ドライブレターの確認 ###
DISKPART>list volume
Volume ### Ltr Label FS Type Size Status Info
---------- --- ------------ ---- ----- ------ ------------- ----
Volume 0 C NTFS Partition 50 GB 正常
Volume 1 P FAT32 Partition 100 MB 正常 非表示
Volume 2 Q FAT32 Partition 100 MB 正常 非表示
### diskpart終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>
### P⇒Qへ丸ごとコピー ###
X:\Sources>xcopy /s/h P:\*.* Q:\
### コピー先(Q)を確認 ###
X:\Sources>dir /s Q:\
### ドライブ文字を削除するためdiskpartユーティリティへ ###
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### ドライブPを選択削除 ###
DISKPART>select volume P
ボリューム 2 が選択されました。
DISKPART>remove
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に削除しました。
### ドライブQを選択削除 ###
DISKPART>select volume Q
ボリューム 1 が選択されました。
DISKPART>remove
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に削除しました。
### diskpart終了 ###
DISKPART>exit
### コマンドプロンプト終了 ###
X:\Sources>exit
STEP⑤ システム領域のRAID1構築
2本目のディスク(Disk#1)のパーティション構築後の「ディスクの管理」画面は以下のようになります。
ここから、システム領域(Cドライブ)のRAID1構築を行っていきます。
すでにインストールしてあるOS領域(ディスク0のCドライブ)を右クリックメニューから「ミラーの追加」を選択します。
Cドライブのミラー先として「ディスク1」(Disk#1)を選択します。
自動的にディスク0(Disk#0)のシステム領域(Cドライブ)がディスク1(Disk#1)にRAID1(ミラー)構築されます。
「再同期中」と表示され、RAID1構築が進行していきます。
終了したらシステム領域(Cドライブ)のRAID1構築は完了です。
2本目のディスク(Disk#1)からの起動確認テスト
RAID1の「再同期」が完了したら、システム領域(Cドライブ)のRAID1構築は完了です。
ディスク0とディスク1はRAID1としてミラー化されているので、もしディスク0が故障してもディスク1からOS起動ができるはずです。
この時点で、これを確認しておきましょう。
システムを再起動すると起動ディスクの選択メニューが表示されます。
上記「Windows Server」を選択起動すると、ディスク0(Disk#0)からOSが起動されます(デフォルト)。
ここで「Windows Server – セカンダリプレックス」を選択起動すると、ディスク1(Disk#1)からOSが起動されます。
ここまでの作業で正しく2本のディスク(Disk#0/Disk#1)がミラー化(RAID1)されており、かつディスク0のEFI領域が正しくディスク1のEFI領域へコピーされていれば、「Windows Server – セカンダリプレックス」から選択起動できるはずです。
無事にOSが起動できたら「システム領域のミラー化(RAID1)はできている(成功)」ということになります。
もしOS起動できない場合はSTEP④の「EFI領域のコピー」をやり直してみてください。
【ワンポイント】ディスク2本運用なら・・・
本記事ではディスク4本を使って「システム領域(Cドライブ)はRAID1」「データ領域(Dドライブ)はRAID5」という構築を目指しています。
しかし、もしディスク2本運用で「システム領域(Cドライブ)もデータ領域(Dドライブ)もRAID1」という構成であれば、この時点で同様にディスク0とディスク1の未割当領域を使ってデータ領域(Dドライブ)もRAID1(ミラー)として構築することもできます。
STEP⑥ Disk#2/#3(データディスク)のパーティション構築
3本目のディスク(Disk#2)と4本目のディスク(Disk#3)のパーティションを構築します。
構築するパーティション構成はどちらも同じで、以下のようなパーティションイメージとなります。
パーティション | タイプ | サイズ(容量) | 利用目的 | 構築タイミング |
---|---|---|---|---|
Partition #1 | システム | 100MB | EFI領域 | 手動で構築 |
Partition #2 | 予約 | 127MB | MSR領域 | 手動で構築 |
Partition #3 | ダイナミックデータ | 50GB ※約51200MB |
システム領域 ※Cドライブ |
手動で構築 |
つまり、同じパーティション操作を3本目ディスク(Disk#2)と4本目ディスク(Disk#3)に実施する、ということになります。
3本目(Disk#2)のパーティション構築
3本目のディスク(Disk#2)のパーティションを構築します。
これまでと同じようにWRE回復ディスクよりマシンを起動し、コマンドプロンプト画面でDiskpartコマンドを起動します。
3本目ディスク(Disk#2)のディスク操作/パーティション操作のログは以下のようになります。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### 接続ディスクの確認 ###
DISKPART>list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナミック GPT
----------- ----------- -------- ------- ----------- ---
ディスク 0 オンライン 150 GB 99GB * *
ディスク 1 オンライン 150 GB 99GB * *
ディスク 2 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 3 オンライン 150 GB 150GB
### Disk#2を選択 ###
DISKPART>select disk 2
ディスク 2 が選択されました。
### Disk#2を初期化 ###
DISKPART>clean
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
### GPTフォーマットへ変換 ###
DISKPART>convert gpt
DiskPart は選択されたディスクを GPT フォーマットに正常に変換しました。
### EFIパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition efi size=100
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### MSRパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition msr size=16
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### システムパーティション(Cドライブ)の作成(50GB) ###
DISKPART>create partition primary size=51200
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### 作成したパーティションの確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
* Partition 3 プライマリ 50 GB 117 MB
### 終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>Exit
以上で3本目ディスク(Disk#2)のパーティション構成が完了です。
4本目(Disk#3)のパーティション構築
4本目のディスク(Disk#3)のパーティション構築は3本目ディスク(Disk#2)と全く同じです。
3本目と同じディスク/パーティション操作を4本目のディスクにも行います。
4本目ディスク(Disk#2)のディスク操作/パーティション操作のログは以下のようになります。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### 接続ディスクの確認 ###
DISKPART>list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナミック GPT
----------- ----------- -------- ------- ----------- ---
ディスク 0 オンライン 150 GB 99GB * *
ディスク 1 オンライン 150 GB 99GB * *
ディスク 2 オンライン 150 GB 99GB *
ディスク 3 オンライン 150 GB 150GB
### Disk#3を選択 ###
DISKPART>select disk 3
ディスク 3 が選択されました。
### Disk#3を初期化 ###
DISKPART>clean
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
### GPTフォーマットへ変換 ###
DISKPART>convert gpt
DiskPart は選択されたディスクを GPT フォーマットに正常に変換しました。
### EFIパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition efi size=100
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### MSRパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition msr size=16
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### システムパーティションの作成(50GB) ###
DISKPART>create partition primary size=51200
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### 作成したパーティションの確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
* Partition 3 プライマリ 50 GB 117 MB
### 終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>Exit
以上でデータ領域(Disk#2/Disk#3)のパーティション構築が完了しました。
次はここで作成したディスクを使ってデータ領域(Dドライブ)のRAID5構築を行いますので、マシンを再起動してOSを起動します。
STEP⑦ データ領域のRAID5構築
OSが起動したら「ディスクの管理」画面を確認してみましょう。
ここまでの手順でディスクは以下のようになっています。
ここからデータ領域(Dドライブ)をRAID5化していきます。
RAID5化に先立ち、ディスク2やディスク3のシステム領域にドライブ文字が割り当てられている場合には削除しておきます。
ディスク2/ディスク3のシステム領域(に相当)は使用しないので、右クリックメニューから「ドライブ文字とパスの変更」からドライブ文字を削除しておきましょう。
改めて、ディスク0の「未割当」領域を右クリックし、メニューから「新しいRAID-5ボリューム」を選択します。
「RAID-5ウィザード」が起動されるので、利用可能なディスクとして「ディスク1/ディスク2/ディスク3」を全部追加します。
4本のディスクが選択されたら「次へ」へウィザードを進め、RAID5構築を行います。
下図のように、データ領域のパーティションがRAID5として「同期中」となります。
同期処理が完了したらデータ領域のRAID5化は完了です。
これで4台のディスクを使ってRAID1(システム領域)とRAID5(データ領域)の共存環境が構築完了となります。
なお、RAID5ウィザードでディスク2/3のシステム領域相当がダイナミックディスクとして認識されます。
このままでも構わないのですが、私はこのディスク2/3領域は「ボリュームの削除」を行い、「未使用領域」にしました。
理由は「見た目がすっきりする」という点と、参考にしているHDL-Z4WQリカバリーツールでの構築結果も「未使用領域」となっているからです。
この点はご自由に。
最後に、本手順で構築したRAID1/RAID5共存環境は「ディスクの管理」で見ると以下のようになります。
ディスク障害時のディスク交換手順
ここからは、運用中のディスク障害時のディスク交換手順をまとめます。
システムディスク(Disk#0/Disk#1)の交換手順
OS領域はDisk#0とDisk#1の2本のディスクでRAID1構成となっています。
このDisk#0/Disk#1のどちらかが故障した場合、以下の修復作業が必要となります。
- RAID1領域の再構築(システム領域)
- RAID5領域の再構築(データ領域)
「1.」と「2.」については交換するディスクを交換前にパーティションを定義しておく作業であり、パーティション構成を定義しておけば後はOS上からRAID再構築を行うことができます。
「3.」についてはRAID再構築では修復できないので、初期設定時と同様にEFIパーティションのプログラムコピーが必要です。
Disk#0/Disk#1のパーティション構築
交換するディスクのパーティションを構成していきます。
なお、ここでは2番目のディスク(Disk#1)が故障・交換するものとします。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### 接続ディスクの確認 ###
DISKPART>list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナミック GPT
----------- ----------- -------- ------- ----------- ---
ディスク 0 オンライン 150 GB 1024KB * *
ディスク 1 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 2 オンライン 150 GB 50GB * *
ディスク 3 オンライン 150 GB 50GB * *
ディスク MD 不足 0B 0B *
### 故障ディスクはDisk#1と仮定 ###
### Disk#1を選択 ###
DISKPART>select disk 1
ディスク 1 が選択されました。
### Disk#1を初期化 ###
DISKPART>clean
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
### GPTフォーマットへ変換 ###
DISKPART>convert gpt
DiskPart は選択されたディスクを GPT フォーマットに正常に変換しました。
### EFIパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition efi size=100
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### EFIパーティションのフォーマット ###
DISKPART>format quick fs=fat32
100% 完了しました
DiskPart は、ボリュームのフォーマットを完了しました。
### MSRパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition msr size=16
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### 作成したパーティションの確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
* Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
### 終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>Exit
以上でシステムディスク(ここではDisk#1と仮定)のパーティション構成は完了です。
ブート領域(EFIパーティション)の修復
もうひとつ、ブート情報(EFIパーティション)の修復が必要です。
これは正常なシステムディスク(Disk#0)のEFIパーティションを新しいディスク(Disk#1)のEFIパーティションへコピーします。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### コピー元(Disk#0)を選択 ###
DISKPART>select disk 0
ディスク 0 が選択されました。
### パーティションを確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
Partition 3 プライマリ 50 GB 117 MB
### Partition#1(EFI領域)を選択 ###
DISKPART>select partition 1
パーティション 1 が選択されました。
### ドライブレター「P」の割り当て ###
DISKPART>assign letter P
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に割り当てました。
### コピー先(Disk#1)を選択 ###
DISKPART>select disk 1
ディスク 1 が選択されました。
### パーティションを確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
### Partition#1(EFI領域)を選択 ###
DISKPART>select partition 1
パーティション 1 が選択されました。
### ドライブレター「Q」の割り当て ###
DISKPART>assign letter Q
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に割り当てました。
### ドライブレターの確認 ###
DISKPART>list volume
Volume ### Ltr Label FS Type Size Status Info
---------- --- ------------ ---- ----- ------ ------------- ----
Volume 0 C NTFS Partition 50 GB 正常
Volume 1 P FAT32 Partition 100 MB 正常 非表示
Volume 2 Q FAT32 Partition 100 MB 正常 非表示
### diskpart終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>
### P⇒Qへ丸ごとコピー ###
X:\Sources>xcopy /s/h P:\*.* Q:\
### コピー先(Q)を確認 ###
X:\Sources>dir /s Q:\
### ドライブ文字を削除するためdiskpartユーティリティへ ###
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### ドライブPを選択削除 ###
DISKPART>select volume P
ボリューム 2 が選択されました。
DISKPART>remove
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に削除しました。
### ドライブQを選択削除 ###
DISKPART>select volume Q
ボリューム 1 が選択されました。
DISKPART>remove
DiskPart はドライブ文字またはマウントポイントを正常に削除しました。
### diskpart終了 ###
DISKPART>exit
### コマンドプロンプト終了 ###
X:\Sources>exit
以上でEFIパーティションの修復も完了です。
これで新しいディスクの構成が完了したので、次はOS上からRAID1/RAID5の再構築を行っていきます。
RAID1の再構築
OS起動時の「ディスクの管理」画面は以下のようになっています。
ディスク1(Disk#1)は交換したディスクであり、RAID1/RAID5領域が崩壊しています(再構築が必要)。
また、障害により取り除いた故障した旧ディスクが「不足/ダイナミックディスク」として表示されています。
まず、RAID1領域を再構築します。
現在、RAID1のミラー情報は「壊れた(取り外した)ディスクとRAID1のペアを組んでいる」という情報をもっています。
システム領域として残っているRAID1領域(ここではDisk#0)を右クリックし、メニューから「ミラーの削除」を選択します。
RAID1(ミラー)は「ディスク0と不足ディスクで構成されている」という画面が表示されるので、「不足」を選び不足ディスク(故障ディスク)とのRAID1(ミラー)ペア情報を削除します。
正常なシステムディスク(Disk#0)のシステム領域からRAID1(ミラー)情報が削除され、通常のダイナミックディスクに変換されます。
ここでシステム領域(Cドライブ)を右クリックし、メニューから新たに「ミラーの追加」を選択します。
RAID1(ミラー)の相手先として、今回交換・追加したディスク(Disk#1)を選択し「ミラーの追加」を行います。
ディスク0とディスク1のシステム領域(Cドライブ)でRAID1(ミラー)が構成され、RAID1再構築が行われます。
「再同期中」が終了すればRAID1の再構築・復旧は完了です。
RAID5領域の再構築
次にデータ領域(RAID5)を再構築します。
残っている正常なディスクのデータ領域を右クリックし、メニューから「ボリュームの修復」を選択します。
新しく追加したディスク(Disk#1)を選択します。
RAID5の再構築が始まります。
RAID5の再構築が完了すれば、ディスク交換による復旧は完了です。
「不足ディスク(ダイナミック)」の削除
最後に「不足:ダイナミック」のディスク情報を削除します。
これは故障して取り外したディスクなのですが、ダイナミックディスクとして構成されていたディスクなので情報が残っている状態です。
今回、故障したディスクに変えて新しいディスクを交換しダイナミックディスクとして構成したので、この故障したディスク情報(不足)は不要です。
なので、ダイナミックディスク構成情報から削除します。
「不足」表示部分を右クリックしメニューから「ディスクの削除」を選択します。
これで壊れた(取り外した)ディスク(不足)のダイナミックディスク情報が削除されました。
以上でシステムディスク(Disk#0/Disk#1)の交換は完了です。
データディスク(Disk#2/Disk#3)の交換手順
交換するディスクのパーティションを構成していきます。
なお、ここでは3番目のディスク(Disk#2)が故障・交換するものとします。
Microsoft Windows [Version 10.0.20348.587]
(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.
X:\Sources>diskpart
Microsoft DiskPart バージョン10.0.20348.1
Copyright (C) Microsoft Corporation.
コンピューター:MINWINPC
### 接続ディスクの確認 ###
DISKPART>list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナミック GPT
----------- ----------- -------- ------- ----------- ---
ディスク 0 オンライン 150 GB 1024KB * *
ディスク 1 オンライン 150 GB 1024KB * *
ディスク 2 オンライン 150 GB 150GB
ディスク 3 オンライン 150 GB 50GB * *
ディスク MD 不足 0B 0B *
### 故障ディスクはDisk#2と仮定 ###
### Disk#2を選択 ###
DISKPART>select disk 2
ディスク 2 が選択されました。
### Disk#1を初期化 ###
DISKPART>clean
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
### GPTフォーマットへ変換 ###
DISKPART>convert gpt
DiskPart は選択されたディスクを GPT フォーマットに正常に変換しました。
### EFIパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition efi size=100
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### EFIパーティションのフォーマット ###
DISKPART>format quick fs=fat32
100% 完了しました
DiskPart は、ボリュームのフォーマットを完了しました。
### MSRパーティションの作成 ###
DISKPART>create partition msr size=16
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### PRIMARYパーティション(Cドライブ)の作成 ###
DISKPART>create partition primary size=51200
DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。
### 作成したパーティションの確認 ###
DISKPART>list partition
Partition ### Type Size Offset
------------- ---------------- --------- ---------
Partition 1 システム 100 MB 1024 KB
Partition 2 予約済み 16 MB 101 MB
* Partition 2 プライマリ 50 GB 117 MB
### 終了 ###
DISKPART>exit
DiskPart を終了しています...
X:\Sources>Exit
以上でデータディスク(ここではDisk#2と仮定)のパーティション構成は完了です。
これで新しいディスクの構成が完了したので、次はOS上からRAID5の再構築を行っていきます。
RAID5の再構築
OS起動時の「ディスクの管理」画面は以下のようになっています。
ディスク2(Disk#2)は交換したディスクであり、RAID5領域が崩壊しています(再構築が必要)。
また、障害により取り除いた故障した旧ディスクが「不足/ダイナミックディスク」として表示されています。
では、RAID5領域を再構築します。
残っている正常なディスクのデータ領域を右クリックし、メニューから「ボリュームの修復」を選択します。
新しく追加したディスク(Disk#2)を選択します。
RAID5の再構築が始まります。
RAID5の再構築が完了すれば、ディスク交換による復旧は完了です。
「不足ディスク(ダイナミック)」の削除
最後に「不足:ダイナミック」のディスク情報を削除します。
これは故障して取り外したディスクなのですが、ダイナミックディスクとして構成されていたディスクなので情報が残っている状態です。
今回、故障したディスクに変えて新しいディスクを交換しダイナミックディスクとして構成したので、この故障したディスク情報(不足)は不要です。
なので、ダイナミックディスク構成情報から削除します。
「不足」表示部分を右クリックしメニューから「ディスクの削除」を選択します。
これで壊れた(取り外した)ディスク(不足)のダイナミックディスク情報が削除されました。
以上でデータディスク(Disk#2/Disk#3)の交換は完了です。
運用① BitLockerでドライブ暗号化
大容量のファイルサーバー(NAS)を利用する場合に共有ドライブを暗号化したい場合もあると思います。
本記事ではWindowsのダイナミックディスクの仕組みを使って4本のディスクにRAID1領域(システム領域)とRAID5領域(データ領域)を共存させています。
そして、Windowsのディスク暗号化の仕組みである「BitLocker」はこのダイナミックディスクでは動作しません。
ここからはこの対処法として「ダイナミックディスク上でBitLocker暗号化ディスクを構築する」について説明していきます。
ダイナミックディスクとBitLocker
本記事ではI-Oデータの「HDL-Z4WQ」を使って4本のディスクにRAID1領域(システム領域)とRAID5領域(データ領域)を共存させています。
HDL-Z4WQ自体はTPM2.0搭載しているのでBitLockerによる暗号化が可能なのですが、Microsoftのディスク暗号化「BitLocker」はダイナミックディスクを暗号化することはできません。
よって、ポイントは「ダイナミックディスクではないディスクを構築し、BitLocker暗号化する」というアプローチになります。
この「ダイナミックディスクではないディスクをMicrosoftの仮想ディスク(vhdx形式)で構築し、この仮想ドライブをBitLockerで暗号化していきます。
STEP① 仮想ディスクの作成
では早速仮想ディスク(vhdx)を作成していきます。
「ディスクの管理」画面の「操作」メニューから「VHDの作成」を選択します。
仮想ハードディスクの作成画面が表示されるので、以下の情報を入力します。
場所 | ファイル名な任意です(本記事では”VDisk”) ※場所(ドライブ)はデータ領域を指定(本記事ではDドライブ) |
---|---|
仮想ハードディスクのサイズ | ご自由に ※基本的にはDドライブの全容量でいいです |
仮想ハードディスクのフォーマット | “VHDX”形式を選択 |
仮想ハードディスクの種類 | “可変容量”をを選択 |
以上を設定したら「OK」ボタンで仮想ディスクを作成します。
作成された仮想ディスクは「ディスクの管理」画面上で追加ディスク(本記事では5本目のディスク)として認識します。
仮想ディスクを初期化します。
さらに初期化したディスクを「新しいシンプルボリューム」としてフォーマットします。
作成した仮想ディスクの実態はDドライブ上(RAID5のデータ領域上)に作成されています。
この仮想ディスクファイルをダブルクリックするか右クリックメニューの「マウント」で、仮想ディスクを新しいドライブとして利用可能となります。
上記のように、エクスプローラー上で「Fドライブ」としてマウントされました。
あとはこのFドライブ上にデータを保管することができます。
また、この仮想ディスクの実態はRAID5のデータ領域上にあるのでRAID5による冗長化の対象となります。
なお、このドライブをアンマウント(切り離し)する場合は右クリックメニューから「取り出し」を選びます。
STEP② 仮想ディスクの暗号化
RAID1/RAID5によるシステム領域/データ領域はダイナミックディスク形式なのでBitLockerによる暗号化ができません。
しかし、今回作成した仮想ディスクは「ベーシックディスク」形式としてにんしきされているので、BitLockerによる暗号化をおこなうことができます。
エクスプローラーからマウントされている仮想ディスクを選択し右クリックメニュー「BitLockerを有効化する」を選択します。
暗号化解除方法の選択では「パスワードを使用してドライブのロックを解除する」を選択し、解除パスワードを設定します。
「回復キーのバックアップ方式」では「ファイルに保存する」を選択し、回復キー情報が記載されたファイルを保存します。
あとはウィザードを進めて仮想ディスクの暗号化を完成させます。
エクスプローラーのドライブ情報に鍵マークが表示されたらBitLocker暗号化は完了です。
STEP③ 仮想ディスクの自動マウント・自動暗号化解除スクリプト
ここまでの手順で仮想ディスク(ベーシックディスク形式)を作成し、その仮想ディスクをBitLockerで暗号化しました。
ここでいくつかの問題があります。
まず、仮想ディスクは「マウント」することでドライブ文字が割り当てられて利用可能となりますが、パソコンを再起動するたびにマウントする必要があります。
仮想ディスクの自動マウント機能はありません。
また、本記事の構成ではシステムドライブ(RAID1領域)もダイナミックディスク形式なのでBitLocker暗号化ができないため、仮想ドライブをマウントするたびに暗号化解除のパスワード入力(または回復キー入力)が必要です。
この2つの問題に対処するために、「自動マウント/自動暗号化解除」のスクリプトを作成します。
自動マウント定義ファイルの作成
まず、以下のファイルを作成し、システムドライブ(Cドライブ)の適当なフォルダへ配置します。
私は「C:\SCRIPT」というフォルダを作り、そこへ以下の内容のテキストファイルを「C:\SCRIPT\AUTOMOUNT.txt」として作成しました。
select vdisk file=D:\VDISK.vhdx
attach vdisk
自動マウント・自動暗号化解除バッチファイルの作成
次に同じフォルダ「C:\SCRIPT」に以下のバッチファイルを作成します(C:\SCRIPT\AUTOMOUNT.bat)。
diskpart -s C:\SCRIPT\AutoMount.txt
manage-bde -unlock F: -rp 473***-003***-******-******-******-******-******-******
ここで、「-rpパラメータ」の引数にはBitLocker暗号化を有効化したときに保存した回復キーファイルに記載されている回復キーを記載します。
作成したフォルダ・ファイルは以下のようになっています。
上記の「AutoMount.bat」を実行すると仮想ディスクがマウントされることを確認してください。
マウントされると同時にBitLocker暗号化も解除されているはずです。
STEP④ スクリプトの自動実行
では最後に作成したスクリプト(バッチファイル)をシステム起動時に自動実行されるように設定していきます。
これにより、システム起動時に自動的に仮想ディスクが自動マウントされ、かつBitLockerによる暗号化も解除されるはずです。
自動実行のしくみは「タスクスケジューラ」の機能を使います。
まず「タスクスケジューラ」を起動します。
画面左ペインで「タスクスケジューラ(ローカル)」を選択し、右ペインで「タスクの作成」を選択します。
「全般」タブで以下の設定を行います。
名称 | タスクの名称をお好きなように ※本記事では”AutoMount” |
---|---|
説明 | 説明文をお好きなように ※本記事では”仮想ディスクの自動マウント” |
セキュリティオプション | “ユーザーがログオンしているかどうかにかかわらず実行する”を選択 |
以上を設定したら「トリガー」タブへ移動します。
タスク起動のトリガーを新規登録します。
「タスクの開始」で「スタートアップ時」(システム起動時)を選択します。
次に「操作」タブ画面で「新規作成」を選びます。
「操作」として「プログラムの開始」が選択されていることを確認し、「プログラム/スクリプト」で先ほど作成したバッチファイル(本記事では”C:\Script\Automount.bat”)を選択します。
最後にWindowsへのログインパスワードが確認された場合にはパスワードを入力しておきます。
以上で自動マウント/自動暗号化解除のバッチファイルがタスクスケジューラに登録され、システム起動時に自動実行されるようになりました。
システムを再起動して確認してください。
まとめ、4本のディスクでRAID1とRAID5を共存させる
本記事ではI-Oデータの古い法人向けストレージサーバー(NAS)であるHDL-Z4WQシリーズを参考にして、4本のディスクを使い「システム領域をRAID1で冗長化」「データ領域をRAID5で冗長化」という環境を構築してみました。
自作PCなどでNASを構築する場合に多くの人はデータ領域については真剣に考えるけれどシステム領域についてはあまり考えていない人が多いのではないでしょうか?
システムに十分なディスクを搭載することができればシステム領域もデータ領域もディスク単位で冗長化できますが、限られたディスク本数(4本程度)のシステムではなかなかデータ領域に加えてシステム領域までも冗長化させる仕組みを構築することができません。
本記事(というかHDL-Z4WQ)の手順にて4本のディスクがあればシステム領域もデータ領域も冗長化させることができます。
当然ながら2本のディスクでシステム領域もデータ領域もRAID1という構成も可能です。
また、今回はWindows系OSでの構築手順をまとめましたが、この応用としてLinux系OSでのRAID1/RAID5共存環境も構築可能です。
軽量で人気のOpenMediaVaultが4本のハードディスクで「システム領域はRAID1/データ領域はRAID5」という共存環境が実現できます。
※別記事にて公開します。