楽天ひかりでは高速通信方式として「クロスパス」という通信方式を提供しています。
従来の「PPPoE接続」ではなく「クロスパス接続」により通信することで、夜間の通信量の多い時間帯でも快適にネット利用することができます。
そして「クロスパス接続」を行うためにはクロスパス対応ルーターが必要です。
クロスパスという通信方式は比較的新しく提供開始された通信方式なので、あまり対応ルーターが多くありません。
このため「楽天ひかりを利用するなら新しく対応ルーターを買わないといけない!」と考えてしまいます。
でもちょっと待ってください!
この記事では、クロスパス対応ルーターでなくてもクロスパス接続が利用できる条件を説明し、「お手持ちのルーターでもクロスパスが利用できるかもしれませんよ!」ということを説明していきます。
楽天ひかりの対応ルーター
楽天ひかりでは通信接続方式として「クロスパス通信方式」と「PPPoE通信方式」の2つが提供されています。
どちらを使って通信しても良いですが、一般的には「クロスパス通信方式」を使って接続することをおすすめします。
「クロスパス通信方式」でネット接続することで、フレッツ光回線の通信が混雑する夜間の時間帯でも快適に高速なネット利用ができるようになるからです。
そして、この「クロスパス通信方式」を利用するためには「クロスパス対応ルーター」が必要です。
楽天ひかりの公式サイトに動作確認済のクロスパス対応ルーターが多数紹介されています。
基本的にはこの中から選んで購入するとよいでしょう。
※楽天市場へのリンクが入っていますが・・・
楽天ひかり「クロスパス対応ルーター」
楽天ひかりの公式サイトでは「クロスパス対応ルーター」が非常にたくさん紹介されています。
これからクロスパス対応ルーターを購入する人はこの中から選ぶと良いでしょう。
また、お手持ちのルーターがクロスパスに対応しているかを確認しても良いでしょう。
楽天ひかりのIPv6(クロスパス)対応ルーター | 楽天ひかり
楽天ひかりが公式サイトで紹介しているクロスパス対応ルーターは以下の2つに分類されています。
- 接続するだけで利用できるルーター
- ご利用前に設定が必要なルーター
接続するだけで利用できるルーター
最初に「接続するだけで利用できるルーター」について説明します。
「接続するだけで利用できるルーター」とは、楽天ひかりの開通後にONU(光配線終端装置)またはVDSLモデムにルーターを接続して10分程度放置しておくだけで、楽天ひかりへの接続情報の自動取得・設定が完了してしまう、というルーターです。
文字通り「買ってきて、つなぐだけで楽天ひかりが使える」というルーターです。
ご利用前に設定が必要なルーター
「ご利用前に設定が必要なルーター」とは、楽天ひかり開通後にルーターを接続する前にちょっとしたルーターの設定が必要、というルーターです。
また、「ご利用前に設定」すべき内容や手順についても詳しく説明されています。
具体的には「クロスパスの接続先アドレス(AFTR)を手動で設定する」という内容です。
「ご利用前の設定」とは?接続するだけのルーターと何が違う?
クロスパス通信方式は「DS-Lite」という通信規格に基づいて開発されている通信サービス商品であり、同様に「DS-Lite通信規格」対応の通信サービスとして「Transix」や「v6コネクト」などがあります。
これらはすべて「DS-Lite通信規格」に基づいて開発・提供されているので、どの通信サービスを選んでも通信の仕組みは同じです。
違いは「サービス提供者(VNE)へ接続するための接続先アドレス(AFTR)」です。
サービス提供事業者(VNE)へのアドレスが自動設定・手動設定の違い
Transix/v6コネクト/クロスパスはどれも「DS-Lite通信方式」に基づいているため全く同じ通信の仕組みですが、違うのはサービス提供者(VNE)への接続アドレスだけです。
そして、クロスパスの提供者(ARTERIA Networks)へのサーバーアドレス(AFTR)が自動取得できるルーターは「接続するだけで利用できるルーター」となり、自動取得できないけど手動設定するルーターが「ご利用前に設定が必要なルーター」となります。
- 接続するだけで利用できるルーター
⇒ ARTERIAへの接続アドレス(AFTR)が自動取得・設定できるルーター - ご利用前に設定が必要なルーター
⇒ ARTERIAへの接続アドレス(AFTR)を手動で設定するルーター(自動取得ができない)
どうせ新規購入するのであれば、簡単につながる「接続するだけで利用できるルーター」の中から選んで購入すると良いでしょう。
一方、「ご利用前に設定が必要なルーター」は、すでにお手持ちのルーターが使えるかどうか、またはほしいルーターが使えるかどうかの確認で使うと良いでしょう。
「Rakuten Casa対応」ルーターって何?
楽天ひかりの「クロスパス対応ルーター」の紹介ページには「Rakuten Casa対応ルーター」という表記もあります。
「Rakuten Casa」とは楽天モバイルの小型LTE基地局(フェムトセル)であり、自宅の光回線に接続することで自宅内に楽天モバイル自社回線(Band3)のLTE電波を出力できるための小型基地局です。
「Rakuten Casa」はほぼ無料で利用できるので、もし自宅内で楽天モバイルの電波が弱い場合にはレンタル導入を検討しても良いでしょう。
「Rakuten Casa」を利用するにはさらに条件がある
「Rakuten Casa」はWi-Fiルーターの形をした小型基地局であり、上位ルーター(ここで言うクロスパス対応ルーター)に接続して使います。
そして、その上位回線(楽天ひかり回線)を利用して楽天モバイルの通信サーバーと通信するために、通信の暗号化などの仕組みを利用します。
この「楽天モバイル通信サーバーとの暗号化通信」を実現するためには、上位ルーター(クロスパス対応ルーター)に必要な条件があり、この条件に合致するルーターが「Rakuten Casa対応ルーター」ということになります。
- もし自宅内で楽天モバイルの電波が弱いならRakuten Casa導入を検討しよう
- その場合には「Rakuten Casa対応ルーター」が必要です
具体的には「Rakuten Casa対応」の条件は?
Rakuten Casaを利用するならルーターは「クロスパス対応」かつ「Rakuten Casa対応」のルーターが必要となります。
具体的な「Rakuten Casa対応」のルーター側条件としては以下の2点になります。
- IPSec/IKEパススルー対応のルーター
- IPv6パススルー対応のルーター
「IPSec/IKEパススルー」とは?
Rakuten Casaは楽天モバイル通信サーバーと「IPSec/IKE」というVPNプロトコルにより通信を行います。
このため上位ルーター(クロスパス対応ルーター)は、この「IPSec/IKE」というプロトコル通信をそのまま通過させるという機能が必要になります。
この「IPSec/IKEプロトコルを通過させる」機能を「IPSec/IKEパススルー」機能と言います。
Rakuten Casaを利用する場合には上位ルーター(クロスパス対応ルーター)には「IPSec/IKEパススルー」機能が必要です。
「IPv6パススルー」とは?
また、この「IPSec/IKEプロトコル通信」はIPv6通信により行われます。
よって、上位ルーター(クロスパス対応ルーター)は「IPv6通信をそのまま通過させる」という機能が必要になります。
この「IPv6通信をそのまま通過させる」機能を「IPv6パススルー(IPv6ブリッジ)」機能と言います。
ちょっと待って!手持ちのルーターでも使える!(かも)
このように、楽天ひかりで使える「クロスパス対応ルーター」はこれから購入しようとする人は公式サイトで紹介されているものから選ぶと良いでしょう。
この場合、どうせ新しく購入するのであれば「接続するだけで利用できるルーター」から選ぶほうが安心ですね。
また、すでにお手持ちのルーターが「クロスパス対応ルーター」かどうかを確認するのも良いでしょう。
実は多くの市販ルーターで「クロスパス」が使える
実はクロスパスは楽天ひかり公式サイトで紹介されているもの以外でも、多くの場合にクロスパスで利用することができます。
「ご利用前に設定が必要なルーター」と同じで、接続設定を手動で行うことで、楽天ひかり公式サイトで紹介されているルーター以外でもクロスパス利用が可能になるものがあります。
ポイントは以下の2点です。
- DS-Lite対応(またはTransix対応)ルーターである
- DS-Lite(またはTransix)の接続先アドレス(AFTR)が手動で設定できる
上記の点について、ここから説明していきます。
新しくクロスパス対応ルーターを購入しなくても、今持っているルーターでそのままクロスパスが使えるかもしれません!
楽天ひかり「クロスパス」の実態
スマホの普及と動画配信サービスの普及により、インターネットの通信量が増大しています。
国内最大の利用者を持つフレッツ光では、この通信量増大によって通信が混雑する時間帯(夜間)になると動画もまともに見れないほど通信速度が遅くなります。
この現象を回避して通信混雑時間帯でも快適な通信速度を得られる仕組みが「IPv4 over IPv6」という通信方式(考え方)です。
フレッツ光回線を利用するなら、もはやこの「IPv4 over IPv6」は必須の通信方式となります。
クロスパスは「DS-Lite規格」
「IPv4 over IPv6」の考え方に基づく通信規格として「DS-Lite」と「MAP-e」という通信規格があります。
この通信規格に沿って通信事業者が開発・提供している通信サービスが「v6プラス」や「クロスパス」などです。
これら高速通信サービスは通信規格によって以下の2つのグループに分けることができます。
通信規格 | 通信サービス(商品) | サービス提供者(VNE) |
---|---|---|
MAP-e | v6プラス | JPNE ※日本ネットワークイネイブラー |
IPv6オプション | BIGLOBE | |
OCNバーチャルコネクト | NTTコミュニケーションズ | |
DS-Lite | Transix | IMF ※インターネット・マルチフィード |
クロスパス | ARTERIA Networks | |
v6コネクト | 朝日ネット |
つまり、「Transx」「クロスパス」「v6コネクト」という通信サービスはどれも「DS-Lite通信規格」に沿って開発・提供されている通信サービスであり、その実態は全く同じものです。
Transixとクロスパス何が違う?←AFTRが違う
Transixもクロスパスもv6コネクトもみな同じ「DS-Lite通信規格」で同じもの、では何が違う?なぜ「クロスパス対応ルーター」が必要?という話しになってきます。
通信方式はどれも同じものですが、通信サービスを提供している通信事業者(VNE)が異なります。
そして、その通信サービスを利用するための接続先サーバーアドレスが違います。
DS-Lite通信規格による接続先サーバーアドレスは「AFTR」を表記され、DS-Lite規格の各通信サービスでは以下のようになっています。
通信サービス(商品) | サービス提供者(VNE) | AFTR FQDN(サーバーアドレス) |
---|---|---|
Transix | IMF | gw.transix.jp |
クロスパス | ARTERIA Networks | dgw.xpass.jp |
v6コネクト | 朝日ネット | dslite.v6connect.net |
このように「Transix/クロスパス/v6コネクト」はどれも同じ通信方式ですが通信で接続するサーバーのアドレス(AFTR)が違う、という点に注意してください。
「クロスパス対応ルーター」の仕組み
「Transix対応ルーター」とはTransixを提供するIMF(インターネットマルチフィード社)のサーバーに接続するためのアドレス(AFTR)「gw.transix.jp」が自動取得・自動設定できるルーターを言います。
同様に「クロスパス対応ルーター」とはクロスパスを提供するARTERIA Networksのサーバーに接続するためのアドレス「dgw.xpass.jp」を自動取得・自動設定できるルーターを言います。
これが「対応ルーター」であり、楽天ひかりが公式サイトで紹介している「接続するだけで利用できるルーター」ということです。
つまり「AFTR」手動設定可能ならクロスパスが使える
楽天ひかり公式サイトでは「ご利用前に設定が必要なルーター」を分けて紹介しています。
この「ご利用前の設定」こそが「AFTRを手動で設定する」ということになります。
つまり、クロスパスのAFTRを自動取得・自動設定できないルーターでも、手動でAFTRを設定できればクロスパスが使える、ということです。
「DS-Lite対応」「Transix対応」ルーターならAFTR手動設定できる?
Transix/クロスパス/v6コネクトはすべて「DS-Lite通信規格」に沿った通信サービスなのですべて同じもの、同じルーターでつながるはずです。
違いは「AFTRが設定(自動・手動)できるかどうか」だけです。
楽天ひかり公式サイトでは一部の「AFTR手動設定できるルーター」を「ご利用前に設定が必要なルーター」として紹介していますが、実は紹介されているルーター以外でも「DS-Lite対応」または「Transix対応」であれば、多くのルーターで「AFTR手動設定」が可能です。
楽天ひかりが紹介している「クロスパス対応ルーター」を購入する前に、まずはお手持ちのルーターで「AFTR設定ができるか?」を確認してみるとよいでしょう。
手持ちのルーターで試してみる
Transix/クロスパス/v6コネクトはどれも「DS-Lite通信規格」に沿って開発されている通信サービス商品なのでどれも同じものです。
違いはサービス提供者(VNE)のサーバーアドレスが設定(または自動取得)できるかどうか、という違いだけになります。
よって「クロスパス対応」の表記がないルーターでも以下の条件を満たすルーターならクロスパスでも通信可能となるはずです。
- 「DS-Lite方式(またはTransix方式)」が利用できること
- DS-Lite(またはTransix)の「AFTR FQDNが手動設定」できること
NEC ATERM WG1900HP2
私が手持ちのルーターの中で「クロスパス対応」の表記がない「NEC Aterm WG1900HP2」で上記を確認してみます。
Aterm WG1900HP2 | Aterm Station
すでに10年ほど前に購入したルーターで当時は「v6プラス/Transix」が全盛であり、クロスパスはまだ提供開始されていなかったため、現在でもクロスパスには正式対応とは表記されていません。
IPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)接続確認済みリスト | Aterm Station(NECプラットフォームズ)
現在のNECの「IPv6動作確認リスト」ではこの「Aterm WG1900HP2」の対応状況は以下のように記載されています(クロスパス非対応)。
型番 | Transix | OCN-VC | v6プラス | IPv6 オプション |
クロスパス | v6コネクト |
---|---|---|---|---|---|---|
WG1900HP2 | 〇 | – | 〇 | 〇 | – | – |
では、このクロスパス非対応であるAterm WG1900HP2でクロスパス通信を試してみます。
「動作モード」を「Transix」とする
まず「動作モード」の設定を行います。
Aterm WG1900HP2は「Transix対応」なので、動作モードを「Transix」と設定します。
また、同時に「自動判定」をオフにしておきます。
オンの状態だとAFTRを自動判定する動作となりますが、クロスパスのFQDNを自動判定することはできないのでルーターがエラーを返すからです。
「AFTRのFQDN」を「dgw.xpass.jp」と手動設定する
そのうえで「AFTR FQDN」をクロスパスのアドレスである「dgw.xpass.jp」に手動設定します。
ここまでの設定完了でルーターを再起動します。
「クロスパス可変モード接続」で接続確認
ではクロスパスでの接続を確認します。
ARTERIA Networksではクロスパス接続判定のためのサイトを提供しています。
上記サイトで「クロスパス可変サービス利用中」と確認することで、無事クロスパスで接続していることを確認できます。
NECルーターをお持ちなら確認してください
上記の設定画面は「Aterm WG1900HP2」での画面になりますが、現在でもほぼすべてのNECルーターでは同じような画面です。
もしお手持ちのNEC製ルーターが「クロスパス対応でない」場合でも、上記のように「Transix設定(またはDS-Lite設定)が選べる」「AFTRが手動設定できる」かどうかを確認してみてください。
「AFTR手動設定」ができるNEC製ルーターなら「クロスパス対応」と表記されていないルーターでもこのようにクロスパス接続できるはずです。
バッファロールーターの確認方法
バッファロー製のルーターをお使いの方は多いと思います。
バッファローはv6プラスやTransixの初期から積極的に製品対応し、また新しい通信サービスがでてもファームウェアアップデートにより対応してきました。
このため、バッファロールーターではちょっと古いルーターでも「クロスパス対応」となっています。
また、バッファロー公式サイト上で「クロスパス対応」となっていなくても、手動でAFTR設定できるものが多いのも特徴です。
バッファローでは「楽天ひかりのIPv6サービスを利用する方法」としてFAQを公開しており、クロスパス対応でない場合における「AFTR手動設定」の方法を公開しています。
楽天ひかりのIPv6サービスを利用する方法 | バッファローFAQ
上記手順の「クロスパスを使用するがない場合」を参考に、管理画面を確認してみてください。
「AFTR手動設定」が可能であれば、そのままお手持ちのバッファロー製ルーターでクロスパスを利用することができます。
I-O DATAルーターの確認方法
I-O DATAはTransixの初期からTransix対応ルーター(つまりDS-Lite対応ルーター)を販売しています。
そして、そのほとんどのルーターで「AFTR手動設定」が可能になっています。
楽天ひかり公式サイトの「クロスパス対応ルーター」として紹介されていなくても、そしてI-O DATA公式サイトで「クロスパス対応」となっていないルーターでも「AFTR手動設定」ができるルーターが多くあります。
また、I-O DATAではこの「AFTR手動設定の方法」をFAQとして公開しています。
クロスパス および 楽天ひかりが提供するIPv6「IPoE/IPv4 over IPv6(DS-Lite)方式」サービスを利用する場合の設定方法 | I-O DATA FAQ
上記のFAQに従い、管理画面の確認と「AFTR手動設定」が可能であれば、そのまま楽天ひかりでクロスパス接続が可能となります。
TP-Linkルーターの確認方法
TP-Linkは海外製ですが積極的に日本国内の通信サービスにも対応を進めており、ご利用の方も多いでしょう。
TP-Linkでは以下のルーターが「DS-Lite通信規格」に対応しており、AFTRの手動設定も可能であることから楽天ひかりのクロスパスでも利用可能です。
また、TP-LinkではDS-Lite対応ルーターを対象として「楽天光回線への接続方法(クロスパス)」を情報公開しています。
楽天ひかり回線にTP-Linkルーターを接続するには | TP-Link
上記の手順により管理画面の確認およびAFTR主導設定により、TP-Linkでクロスパス通信が利用可能となります。
TP-Linkルーターをお持ちの方は確認してみてください。
クロスパスとPPPoEを併用できるルーター
ここまでは楽天ひかりが提供する高速通信サービス「クロスパス(Xpass)」対応ルーターについて説明してきました。
楽天ひかりでは高速通信「クロスパス」と同時に従来からの通信方式「IPv4/PPPoE」通信方式も標準(追加料金なし)で提供しています。
ここからは楽天ひかりの高速通信サービス「クロスパス」と従来からの「PPPoE」を併用(同時に利用)できるルーターをご紹介します。
クロスパスとPPPoEが併用できると何がうれしいの?
フレッツ光回線は利用者・通信データ量の増加によりIPv4/PPPoE接続の認証地点が混雑し、特に夜間の通信速度は動画も見れないほど速度低下してしまいます。
クロスパスは「IPv4 over IPv6」通信技術により、この混雑地点(IPv4/PPPoE認証地点)を迂回することでフレッツ光回線本来の高速通信を行うことができます。
一方でクロスパス(IPv4 over IPv6)は自宅ルーターに「完全なIPv4グローバルアドレスが付与されない」という仕組みであることから、従来からのサービスの一部が使えなくなる場合があります。
- 外出先から自宅へ接続する(VPN利用など)
- 自宅サーバーを外部公開できない(ポート開放など)
- テレワークなどで会社のVPNに接続できないプロトコルがある(L2TP/IPSecなど)
クロスパスとPPPoEを1台のルーターで併用できれば、「通常のインターネット利用は高速通信クロスパスを利用」「クロスパスが苦手なサービス利用はPPPoEを利用」という使い分けができます。
1台でクロスパスとPPPoEを併用できるルーターは?
一般的な家庭用ルーターは1台のルータで1つの接続方式のみが利用可能であり、複数(クロスパスとPPPoE)同時利用はできません。
このような複数同時利用をする場合は高額な業務用ルーターが必要となります。
その中で「GL.iNet」という会社が製造・販売している高機能・小型ルーターは一般家庭向け製品ながら業務用ルーター並みの自由度の高さが特徴であり、「1台でクロスパスとPPPoEの併用環境」という使い方ができてしまいます。
この章では、「1台でクロスパスとPPPoEを併用できるルーター」としてGL.iNetルーターのご紹介、そしてGL.iNetルーターで「クロスパスとPPPoEを併用する手順」について説明していきます。
自宅据え置き型のGL.iNetホームルーター
GL.iNetが製造・販売している家庭向け据え置き型ルーター(ホームルーター)は「GL-AX1800(Flint)」となります。
デザインは一般的な家庭用据え置きタイプ、中身(ソフトウェア)は業務用ルーター並みの高機能ファームウェア「OpenWrt」をベースとしたカスタムファームウェア搭載です。
「1台でクロスパスとPPPoEを併用」という使い方に加えて、高速・軽量なVPNプロトコル「WireGuard」を使って簡単に外出先で使うPCやスマホとVPN環境を構築することができます。
しかし、今はちょっと購入時期としてはよろしくありません。
すでにホームルーターの後継機種GL-MT6000(Flint2)が発表されておりすでに海外では販売開始されています(日本国内販売が遅れている)。
後継機種「GL-MT6000(Flint2)」は2.5GbE×2/1GbE×4の合計6ポートをWAN/LANに自由に割り当てることができます。
またWi-FiもWi-Fi6対応で最大通信速度4804Mbpsと超高速です。
非常に高スペック・高機能に進化しており、「GL-MT6000(Flint2)に期待」「旧型になるGL-AX1800(Flint)の値下がりに期待」というのが現状です。
自宅でも旅行先でも使えるGL.iNetトラベルルーター
自宅用としても使えるし旅行にも持っていける小型ルーター(トラベルルーター)の中でおすすめが「GL-AXT1800(Slate AX)」です。
手のひらサイズの小型ながらハードウェアスペックはホームルーター「GL-AX1800(Flint)」と同等、もちろん中身(ファームウェア)も同じです。
ホームルーター「GL-AX1800(Flint)」との違いは大きさ以外では「WAN/LANポートの数」くらいです。
トラベルルーター「GL-AXT1800(Slate AX)」は小型トラベルルーターなので「WAN×1ポート/LAN×2ポート」という構成になっています。
※GL-AX1800(Flint)はWAN×1ポート/LAN×4ポート
最新機種「GL-MT3000(Beryl AX)」
小型トラベルルーターの最新機種はGL-MT3000(Beryl AX)です。
有線WANは2.5GbE対応(LANポートは1GbE)、Wi-Fi6対応で通信速度最大2402Mbps、と有線も無線(Wi-Fi)も速度はGL-AXT1800(Slate AX)の2倍です。
それでいて(なぜか)GL-AXT1800(Slate AX)より安く買えてしまします。
GL.iNetトラベルルーターの廉価版「GL-A1300(Slate Plus)」
小型トラベルルーターシリーズの廉価版が「GL-A1300(Slate Plus)」です。
販売価格は10,000円ほどですがAmazonでは頻繁に20%~30%割引きで販売されているので、その時がねらい目です。
ソフトウェアの機能は上記機種「GL-MT3000(Beryl AX)」「GL-AXT1800(Slate AX)」と同等というか同じファームウェアを搭載しているので全く同じです。
よってどの機種も同じ手順で「クロスパスとPPPoEを併用する」ことができます。
違いはハードウェア性能が少し落ちて「Wi-Fi5対応、最大通信速度867Mbps」となる点です。
GL.iNetルーターで「クロスパスとPPPoEを併用」する手順
GL.iNetの製品は機種タイプが異なっても同じ「OpenWrtベースのカスタムファームウェア」を搭載しています。
このことからハードウェア仕様・性能は違ってもソフトウェア的にできることはみな同じです。
本記事で紹介したGL.iNetルーターで「1台のルーターでクロスパスとPPPoEを併用する」ための設定手順は以下の記事を参考にしてみてください。
手順書として記述しているので画面イメージが多く「面倒?」と思われるかもしれませんが、やることは数ステップです。
GL.iNetルーターで楽天ひかりを使い倒す
楽天ひかりは今となっては珍しい「高速通信(IPv4 over IPv6)のクロスパスとIPv4/PPPoEをどちらも標準提供」してくれるプロバイダーです。
通常のネット利用は夜間でも速度低下しないクロスパスを使って通信するとよいでしょう。
そして、せっかくなのでPPPoEも活用したいところです。
特に「テレワークで会社のVPNへ接続する」「外出先から自宅ネットワークへ接続したい」という方、クロスパスがちょっと苦手とするサービスの利用にはPPPoE通信は欠かせません。
せっかく標準(無料)で提供されるPPPoEなので楽天ひかりならGL.iNetルーターを使って徹底的に使い倒したいところです!
GL.iNetルーターはなにができる?
GL-AXT1800(Slate AX)をベースに「GL-AXT1800(Slate AX)全機能紹介!」の記事も参考にしてみてください。
GL-AXT1800(Slate AX)ベースの記事ですが、GL.iNetルーターはすべてOpenWrtベースのカスタムファームウェアを搭載しているので機能はすべて同じです。
「クロスパスとPPPoEを併用する」ということ以外にも通常の家庭向けルーターではできないような最新機能も多く搭載しています。
まとめ
楽天ひかりが提供する高速通信サービス「クロスパス」は比較的新しい通信サービスなので、古くから提供されている「v6プラス」「Transix」などと比べると対応ルーターが少ないです。
しかし、お手持ちのルーターが「DS-Lite対応」「Transix対応」であれば、メーカーが「クロスパス対応」としていなくてもAFTR手動設定することでクロスパス対応ルーターに変身します。
DS-Liteならみな同じルーター
「DS-Lite対応ルーター」「Transix対応ルーター」であれば多くの場合「クロスパス対応ルーター」として使用することができます。
通信方式がDS-Lite通信規格なのでみな同じ、違いはサービス提供事業者(VNE)の接続サーバーアドレス(AFTR)を「自動取得・設定」できるか「手動設定」か、という違いです。
この点において「AFTR手動設定可能」なルーターであれば、「クロスパス対応」と表記されていなくても、クロスパスでの利用が可能です。
※「AFTR手動設定できない」ルーターであれば、残念でした・・・
新規購入しなくてもお手持ちのルーターで使える
楽天ひかりを契約する場合にお手持ちのルーターが「DS-Lite対応」「Transix対応」であれば、わざわざクロスパス対応ルーターを購入する必要はありません。
お手持ちのルーターに手動で「AFTR手動設定」することで、楽天ひかりクロスパスを利用することができます。
安い中古品でも使える
また、新たにルーターを購入数る場合でもDS-Lite対応・Transix対応であれば多くの場合「AFTR手動設定」ができるので、安く中古品などを購入することができます。
クロスパスはv6プラスやTransixと比べると比較的新しいサービスであり、そのため「クロスパス対応」ルーターは比較的最近発売のルーターで高額となります。
しかし、古くからある「DS-Lite対応」「Transix対応」のルーターを安く購入し、楽天ひかりクロスパスで利用することもできます。
ポイントは「DS-Lite対応」「AFTR手動設定可能」
クロスパス対応ルーター選びのポイントは以下の2点です。
- DS-Lite対応またはTransix対応ルーターであること
- AFTR手動設定ができること
- ※AFTR自動取得・自動設定ができればそれは立派なクロスパス対応ルーター
また、楽天ひかりの契約前にわからなくても、楽天ひかりは「IPv4/PPPoE接続」も利用可能です。
「クロスパスが使えるかどうか?」わからない、という場合には「IPv4/PPPoE接続」でも利用できるので、あわててクロスパス対応ルーターを購入する必要はありません。
実際に動作確認してみてから購入しても遅くありません。
GL.iNetルーターでクロスパスとPPPoEを併用
楽天ひかりでは高速通信クロスパスに加えて従来の通信方式IPv4/PPPoE通信も標準で提供しています。
PPPoEはクロスパスがちょっと苦手とする「外出先から自宅への接続」「自宅から会社のVPN利用」などを補完できる通信方式なので、どちらも使えるようにしておくとクロスパスでちょっと困ったときにPPPoEが助けてくれます。
GL.iNetルーターなら1台のルーターでクロスパスとPPPoEのどちらも使えるように定義することができます。
GL.iNetルーターなら楽天ひかりの標準サービスであるPPPoE通信も使い倒すことができます。