Intel N100ファミリー(N100/N95/N97)を搭載したミニPCは多くの中国系新興企業が魅力的な製品を製造・販売しています。
その中でひときわ惹かれる製品が「GMKtec NucBox G2/G5」です。
ミニPCをさらに小さくした超ミニPCという点で特徴ある製品になっています。
私はどちらの製品を購入するかかなり悩んだあげく、NucBox G2の1TBモデルを購入しましたが、最後までNucBox G2かNucBox G5かで迷いました。
※結局NucBox G5もいつか買うんだろうな・・・と思っていますが
本記事では悩んだ過程も含めて、超ミニPC「NucBox G2/G5」に比較・検討ポイントを見ていきます。
GMKtecの人気モデル「G2 vs G5」
Intelの省電力CPUであるN100ファミリーが登場してから、手のひらサイズの小型PC(ミニPC)が人気です。
多くの企業(ほとんど中国系)が多種多様な魅力的なミニPCを製造販売しています。
その中で、GMKtecが販売しているNucBox G2とNucBox G5は他社のミニPCとは一味違うミニPCに仕上がっています。
何が魅力か?というと、NucBox G2もNucBox G5も一般的なミニPCをさらに小型化し、「手のひらサイズ」を超えて「指先に乗るサイズ」くらい小さなミニPCとなっています。
NucBox G2のモデル構成
NucBox G2はCPUにIntel N100を搭載した超小型・超省電力のミニPCです。
製品固有の使用の次章にてご紹介していきますが、まずは販売されているモデルとして「SSD容量が512GBモデル/1TBモデル」の2モデルがあります。
512GBモデルはGMKtec公式サイトでの販売価格が約4万円となっていますが、アマゾンでは約3万円さらに毎月のキャンペーンを利用すると20%割引(約2.4万円程度)で購入することができます。
SSD容量1TBモデルはアマゾンでは3.2万円程度での販売となりますが、こちらも毎月のキャンペーンを利用すると20%割引(約2.5万円程度)で購入することができます。
どちらのモデル(512GBモデル/1TBモデル)もメモリ容量は12GB(LPDDR5/オンボードメモリ)であり、メモリの増設はできません。
NucBox G5のモデル構成
NucBox G5はCPUにIntel N97を搭載したことで、N100搭載のNucBox G2よりもより高性能であることが期待できるミニPCです。
さらに超小型ミニPCであるNucBox G2をさらに小型化(1.5cmも小さい)された非常に魅力的なミニPCです。
NucBox G5にはSSD容量が256GBモデルと512GBモデルがあります。
NucBox G5の256GBモデルはアマゾンでは通常2.2万円程度、これもキャンペーンでの割引やクーポン適用により2万円を割る価格で購入することができます。
SSD512GBモデルは通常では3万円程度で販売されていますが、これもまたキャンペーン/クーポン利用で約2.5万円程度で購入することができます。
どちらのモデル(256GBモデル/512GBモデル)もメモリ容量は12GB(LPDDR5/オンボードメモリ)であり、メモリの増設はできません。
NucBox G2よりもさらに小型で高性能、という点が非常に魅力的な製品です。
NucBoxG2 vs NucBoxG5の製品仕様を比較
NucBox G2とNucBox G5の製品仕様を比較してみます。
両社の製品仕様を一覧比較すると以下のようになります。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
Intel N100(1.8~3.4GHz) ・4コア/4スレッド |
CPU | Intel N97(2.0~3.6GHz) ・4コア/4スレッド |
Intel UHD Graphics(0.30~0.75GHz) | GPU | Intel UHD Graphics(1.20GHz) |
6W | TDP | 12W |
LPDDR5(4800MHz)/12GB ・On Board(換装不可) ・空きスロットなし(増設不可) |
メモリ | LPDDR5(4800MHz)/12GB ・On Board(換装不可) ・空きスロットなし(増設不可) |
512GB / 1TB ・M.2/2242(4800MHz)/SATA(換装可) ・空きスロットなし(増設不可) |
SSD | 256GB / 512GB ・M.2/2242(4800MHz)/SATA(換装可) ・空きスロットなし(増設不可) |
– | TF CARD | 1 |
2×RJ45(1GbE) | 有線LAN | 1×RJ45(1GbE) |
Wi-Fi6 | 無線LAN | Wi-Fi5 |
Bluetooth 5.2 | Bluetooth | Bluetooth 4.2 |
3×USB3.2(Gen1) Type-A | USB Type-A | 3×USB3.2(Gen1) Type-A |
1×12V3A(給電専用) | USB Type-C | 1×12V3A(給電専用) |
2×HDMI(4K@60Hz) | HDMI | 2×HDMI(4K@60Hz) |
1×DP1.4(4K@60Hz) | DP | – |
– | オーディオ | 1×3.5mm |
87×87×39.5mm | 本体サイズ | 72×72×44.5mm |
218g | 本体重量 | |
Windows11Pro(OEM版) | 添付OS | Windows11Pro(OEM版) |
・Windows10Pro(OEM版) ・Linux |
利用可能OS | ・Windows10Pro(OEM版) ・Linux |
・NucBox G2本体 ・電源(USB-TypeC) ・取扱説明書 ・VESAマウンタ ・HDMIケーブル ・赤い天板(?) |
製品パッケージ | ・NucBox G5本体 ・電源(USB-TypeC) ・取扱説明書 |
CPU基本性能はどっちが上?
NucBox G2とNucBox G5の製品基本構成は以下のようになります。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
Intel N100(1.8~3.4GHz) ・4コア/4スレッド |
CPU | Intel N97(2.0~3.6GHz) ・4コア/4スレッド |
Intel UHD Graphics(0.30~0.75GHz) | GPU | Intel UHD Graphics(1.20GHz) |
6W | TDP | 12W |
LPDDR5(4800MHz)/12GB ・On Board(換装不可) ・空きスロットなし(増設不可) |
メモリ | LPDDR5(4800MHz)/12GB ・On Board(換装不可) ・空きスロットなし(増設不可) |
違いとしてはNucBox G2が「Intel N100」搭載、一方のNucBox G5は「Intel N97」搭載という点です。
CPU性能は大差なし
CPU性能の比較サイト「cpumonkey」
・CPU性能はほぼ同じ
GPU性能はNucBoxG5が上
Intel N100もN97もグラフィック処理はCPU内臓のIntel UHD Graphicsとなり同じ仕組みです。
しかし、N100とN97では搭載されているGPU(Intel UHD Graphics)の動作クロックが異なります。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
Intel UHD Graphics(0.30~0.75GHz) | GPU | Intel UHD Graphics(1.20GHz) |
N100搭載のGPUが動作クロック0.3~0.75GHzであるのに対し、N97搭載のGPUでは動作クロック1.2GHzと圧倒的に高性能(?)です。
このため、N100よりもN97の方が「ゲームに強い」「動画視聴に強い」などの特徴がある、と言えます。
ただし、しょせんはN100ファミリーでありゲーム性能にあまり多くの期待はできません。
一方で動画視聴をより快適に行いたい場合にはN97の方が「より高画質での視聴ができる」ことが期待できます。
省電力性はNucBoxG2が上
高速な処理性能についてはグラフィック機能についてはN97搭載のNucBox G5がより高性能であることが期待できますが、一方でその見返りとしての省電力性ではN100搭載のNucBox G2の方が圧倒的に省電力です。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
6W | TDP | 12W |
メモリ増設はできない!
NucBox G2もNucBox G5もすべてのモデルについて搭載メモリはLPDDR5/4800MHzの12GBとなります。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
LPDDR5(4800MHz)/12GB ・On Board(換装不可) ・空きスロットなし(増設不可) |
メモリ | LPDDR5(4800MHz)/12GB ・On Board(換装不可) ・空きスロットなし(増設不可) |
LPDDRはオンボードメモリなので換装(付け替え)はできず、また両者ともメモリ空きスロットはないためメモリ増設もできません。
SSDの増設・換装には注意!
NucBox G2およびNucBox G5に搭載されているSSDは「M.2 2242/SATAインターフェース」となります。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
512GB / 1TB ・M.2/2242(4800MHz)/SATA(換装可) ・空きスロットなし(増設不可) |
SSD | 256GB / 512GB ・M.2/2242(4800MHz)/SATA(換装可) ・空きスロットなし(増設不可) |
– | TF CARD | 1 |
一般的に流通量の多いサイズ(M.2 2280)より小さい(短い)サイズのM.2 SSDであり、またインターフェース使用がSATAインターフェースである点に注意してください。
空きのM.2ポートやSATAポートはないのでSSDの増設はできませんが、製品添付のSSDを換装することはできます。
NucBox G2にはSSD容量として「512GBモデル/1TBモデル」が選択可能、NucBox G5では「256GBモデル/512GBモデル」が選択可能なので、よく考えて購入してください。
なお、SSDの増設はできませんがNucBox G5にはTFカードスロットが1ポートあるため、TFカードによるディスク領域の増設は可能です(G2にはTFカードスロットなし)。
ネットワークインターフェースはNucBoxG2が上
ネットワークインターフェースはNucBox G2が「2×RJ45(1GbE)/Wi-Fi6」であるのに対しNucBox G5は「1×RJ45(1GbE)/Wi-Fi5」となります。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
2×RJ45(1GbE) | 有線LAN | 1×RJ45(1GbE) |
Wi-Fi6 | 無線LAN | Wi-Fi5 |
Bluetooth 5.2 | Bluetooth | Bluetooth 4.2 |
有線LANポート(RJ45)のポート数、およびWi-Fi規格が異なる点に注意してください。
特にNucBox G2がWi-Fi6対応(G5はWi-Fi5対応)であることから、自宅のWi-Fi環境が充実している方にはNucBox G2の方がメリットがあります。
Bluetooth機器の利用には注意!
NucBox G2がBluetooth5.2対応なのに対し、NucBox G5はBluetooth4.2対応という点に注意してください。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
Bluetooth 5.2 | Bluetooth | Bluetooth 4.2 |
Bluetooth5系は4系に対してデータ転送速度が2倍に強化されており、そのためBluetoothイヤホンなどの音質に大きな影響があります。
もしBluetooth機器を利用予定の場合にはお持ちの(または購入予定)Bluetoothデバイスの対応バージョンに注意してください。
無難な選択としては上位互換でより高速・高機能なBluetooth5.2対応のNucBox G2となります。
USB3.2(Gen1)搭載、Type-Cは給電専用
USBポートはType-AおよびType-Cがあります。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
3×USB3.2(Gen1) Type-A | USB Type-A | 3×USB3.2(Gen1) Type-A |
1×12V3A(給電専用) | USB Type-C | 1×12V3A(給電専用) |
USB3.2 Type-AはGen1なので実質的にUSB3.0と同等でデータ転送速度は最大5Gbpsです。
Type-Cポートは12V3Aの給電専用ポートとなっており、データ転送としては利用できません(ディスプレイ利用もできません)。
マルチディスプレイ出力に対応
複数のHDMIポート搭載なのでマルチディスプレイ出力が可能です。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
2×HDMI(4K@60Hz) | HDMI | 2×HDMI(4K@60Hz) |
1×DP1.4(4K@60Hz) | DP | – |
さらにNucBox G2にはDP(Dispalay Port)も1ポート搭載されているので、最大で3画面出力ができます。
添付OSはWindows11Pro(OEM版)
NucBox G2もNucBox G5も製品にはOEM版Windows11 Proが初期導入されています。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
Windows11Pro(OEM版) | 添付OS | Windows11Pro(OEM版) |
SSD領域にリカバリーイメージとして導入されているので、製品購入後に最初に電源を入れた時点で初期設定(セットアップ)が動き、Windows11 Proが使えるようになります。
初期設定が完了したWindows11 Proは正規の「OEM版Windows11 Pro」としてデジタルライセンス認証されます。
いつでも製品出荷時の状態に戻せる
GMKtecでは製品添付OSについては公式サイトのリンク(Google Drive)からインストールイメージをダウンロードすることができます。
このインストールイメージを使ってSSD領域を初期化することで、いつでもSSD領域を製品出荷時の状態に戻すことができます。
Windows10(OEM版)にも対応
GMKtecでは公式サイトのリンクからなんとOEM版Windows10 Proのインストールイメージもダウンロードすることができます。
NucBox G2 | NucBox G5 | |
---|---|---|
・Windows10Pro(OEM版) ・Linux |
利用可能OS | ・Windows10Pro(OEM版) ・Linux |
Windwos10のインストールイメージを使ってSSD領域を初期化することで、NucBox G2/G5をWindows10で使うことができるようになります。
NucBox G2へOEM版Windows10をインストールする手順については以下の記事を参考にしてみてください。
インストール後のWindows10も正規の「OEM版Windows10 Pro」としてデジタルライセンス認証されます。
上記のように「Windows10 Pro」として「デジタルライセンス認証」が行われます。
また、以下のように正規のOEM版であることも確認できます。
ドライバーも提供、クリーンインストールもできる
また、GMKtecの公式サイトではWindows用ドライバーも提供されています。
このため、製品添付/公式サイト提供のOEM版Windows11/10だけでなく、マイクロソフトが公式サイトで提供しているWindows11/10をクリーンインストールすることもできます。
※クリーンインストール後にドライバーを適用
NucBox G2にWindows10をクリーンインストールしドライバー適用する手順については、以下の記事を参考にしてみてください。
Windows11/10をクリーンインストールすることで、OSライセンスは「リテール版」としてデジタルライセンス認証されます。
また、クリーンインストールした場合は製品バージョンは「リテール版(RETAIL)」としてライセンス認証されます。
Linuxもインストールできる
NucBox G2/NucBox G5にはLinuxもインストールすることができます。
たとえば、Proxmox(Debianベース)をインストールすることでNucBox G2/G5を超小型の仮想サーバーとして使うことができます。
また、UbuntuデスクトップをインストールすることでGUIによるデスクトップ環境を構築することもできます。
Ubuntu系LinuxではWi-FiもBluetoothも利用可能
NucBox G2にUbuntu-Desktop24.04LTSをインストールしてみました。
Ubuntuデスクトップ環境ではWi-FiもBluetoothも利用可能、正しくネットワーク接続もペアリングも可能です。
また、KDE環境で人気のKubuntu-24.04-LTSも同様でWi-Fi/Bluetoothともに利用可能でした。
Ubuntu系ではWi-Fi/Bluetoothともに利用可能と言っていいでしょう。
Ubuntu以外ではWi-Fi/Bluetoothに注意
一方でDebianデスクトップ環境(22.04LTS)ではWi-Fi/Bluetoothともに標準インストール手順では認識できませんでした。
「標準インストール手順では」と書きましたが、別途ドライバーを導入することでWi-Fi/Bluetoothを構成することもできるのですが、ちょっと不安定だったりエラーログが出力されたりします。
基本的にはUbuntu系Linux以外ではWi-Fi/Bluetoothは要注意、ということです。
※NucBox G2での動作確認結果です。
まとめ、NucBox G2 vs G5どちらを選ぶ?
他社のミニPCと比べてさらに小さい(超ミニPC)ことが魅力のNucBox G2とNucBox G5です。
また、いろいろ言われているWindowsのライセンスについてもしっかりとした正規OEM版が提供されている点も信頼できる点です。
どちらも魅力的なミニPCですが、結局私はNucBox G2 1TBモデルを購入しました。
購入の決め手は「有線LANが2ポートある!(笑)」
NucBox G2に決めたのは「有線LANポートが2ポートあるから」です(笑)。
いろいろな面から比較して悩みましたが、結局最後は有線LANポートでした・・・。
NucBox G2は自宅PCの予備マシンとして使いたい!とか、自宅サーバーの予備機として使いたい!とかの想いがありましたが、自宅サーバーとして使う(遊ぶ)場合はやはり有線LANポートが複数あった方が面白いです。
Proxmoxを入れて仮想サーバーとして使う場合、有線LANポートが複数あれば、「管理ポートとVMポートを分けられる」とか「OpenWrt仮想マシンを構築してルーター機能付き仮想サーバーが作れる」とか、いろいろ遊べます。
N97のグラフィック性能だとか指先に乗りそうな超小型とか、NucBox G5の魅力も大きいのですが、結局はこんな感じでNucBox G2に落ち着いてしまいました。
N5105からの進化にびっくり
2年ほど前に中国系企業のHUNSNというメーカーの「HUNSN RJ03」というミニPCを購入しました。
N5105搭載で2.5GbE×4の有線LANポートがついているという、手のひらサイズのミニPCです。
こちらもWindowsだのUbuntuだので遊んだ挙句、現在は実家の「ルーター機能付き(OpenWrt)仮想サーバー」として元気にProxmoxが動いています。
そして、今回びっくりしたのはN5105に対するN100の高性能化です。
Windowsを動かしてもProxmoxで仮想サーバーにしても、明らかに(体感できるほど)NucBox G2の方が快適に動きます。
動画視聴するならNucBox G5(N97)?
今回、NucBox G2(N100)とNucBox G5(N97)を比較しました。
性能面についてはグラフィック性能面でN97搭載のNucBox G5に軍配が上がると思いますが、ゲーム目的で両者を比較するのはあまり現実的ではありません。
多少のグラフィック性能があってもしょせんはN100ファミリーであり、快適にゲームが行えるCPUではありません。
しかし、動画視聴においては差が出ると思われます。
購入したNucBox G2(N100)ではYouTubuの4K動画再生はちょっと厳しいですね。
4K再生はできますがちょっとカクカクします。
この点においてNucBox G5(N97)ならスムーズな4K動画再生が期待できます。