GL.iNetトラベルルーター「GL-AXT1800(Slate AX)」でtailscale VPNを使う、DS-Lite回線でもなんでもつながる!

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GL.iNetトラベルルーター「GL-AXT1800(Slate AX)」 GL.iNetトラベルルーター
本記事はPRによる消費税込みの価格表示です
本記事はGL-AXT1800(Slate AX) FW4.2.3で検証しています。

外出先からでも自宅のネットワークに接続してファイルサーバーを使ったり管理パネルを操作したりしたい・・・

という場合には自宅側にVPNサーバーを構築し外出先のVPNクライアントから接続できる、という環境を構築しますね。

こんな場合にGL.iNetトラベルルーターで重宝されるのが「OpenVPN」「WireGuard」のサーバー機能/クライアント機能です。

どちらも高機能なのですが、今なら最新プロトコルのWireGuardを使うべきでしょう。

ですが、自宅回線環境がIPv4 over IPv6だと自宅ルーター側に付与されるIPv4アドレスが完全なIPv4アドレスではないため、なかなかうまくVPNサーバーが動きません。

こんな時に便利なのが最近話題のVPNソリューション「Tailscale(テイルスケール)」です。

この記事ではGL.iNetトラベルルーター「GL-AXT1800(Slate AX)」で提供されるアプリケーション「tailscale」を使ってVPNサーバー環境をサクッと構築してみます。

やりたいこと

この記事でやりたいことを先に書いておきます。

「やりたいこと」であり、またTailscaleで実現できること、ということになります。

外出先から自宅のネットワークを使いたい

「外出先から自宅のファイルサーバーにアクセスしたい」とかそんな小さいことがやりたいわけではありません。

「外出先から自宅のネットワークに接続したい」「自宅と同じ環境を外出先でも使いたい」という壮大なテーマでやります。

マシン名・IPアドレスもいつものやつを使いたい

自宅ネットワーク内へのアクセスもいつものマシン名やIPアドレスで接続したいです。

いつもと違うマシン名・IPアドレスだと覚えきれませんから。

自宅回線がIPv4 over IPv6でも使いたい

IPv4 over IPv6ではWAN側に付与されるIPv4アドレスは不完全なIPv4アドレスであり、VPNサーバーを構築する場合は何かと面倒です。

もちろん最新のWireGuardなどのVPNはIPv6にも対応しているのですが、それだと外出先環境がIPv4環境の場合に利用できません。

この問題を解決する方法はいくつかあるのですが、どれもちょっと面倒です。

今回は我が家の回線環境である楽天ひかりのクロスパス(DS-Lite)環境を使って、外出先環境がIPv4でもIPv6でも接続できるようにしたいです。

本記事の前提条件

本記事での前提条件を明記しておきます。

GL.iNetトラベルルーター「GL-AXT1800(Slate AX)」

使用するGL.iNetトラベルルーターは「GL-AX1800(Slate AX)」です。

理由は「私が所有しているGL.iNetトラベルルーターの中で最新機種」だからです。

GL.iNet GL-AXT1800(Slate AX) WiFiルーターWiFi6 無線LAN VPN トラベル デュアルバンド 11 b/g/n/ac/ax 1201Mbps (5GHz) + 574Mbps (2.4GHz) OpenVPN&wiregurad対応 日本語設定画面
GL.iNet
【WiFi 6 ワイヤレスルーター】Slate AXは、デュアルバンド約1800 Mbps(2.4GHz 574Mbps、5GHz 1201 Mbps)のWi-Fi 6ネットワーク接続を強力に提供します。MU-MIMO、OFDMA、BSSカラーによりWi-Fiパフォーマンスを向上させ、最大120台のデバイスに同時接続することができます。

すでに旧機種となってしまいました。

最新機種は有線2.5GbE対応の「GL-MT3000(Beryl AX)」です。

GL.iNet WiFi6 ルーター VPN 無線LAN トラベルIPv6対応 2.5Gbps WANポート ギガビットAX3000 574 Mbps+ 2402 Mbps WPA3 AdGuard Home VPN Client OpenVPN Wireguard 旅行 出張 技術サポート 日本語設定画面 GL-MT3000 (Beryl AX)
GL.iNet
【デュアルバンド wifi6トラベルルーター】スピードアップで快適なWi-Fi6!IPv6対応、ワイヤレス速度 574Mbps (2.4G)+2402Mbps (5G) のデュアルバンドネットワーク。2.5GマルチギガビットWAN ポートと1G ギガビットLAN ポート!コンパクトで、持ち運び便利なルーターです。【ご注意!使用の前に最新のファームウェアをダウンロードください:https://dl.gl-inet.com/?model=mt3000】

しかし、ルーターやスイッチングハブなどでは2.5GbE/10GbE対応製品はよく不具合も出ているようです。

よって最新機種「GL-MT3000(Beryl AX)」よりも「GL-AXT1800(Slate AX)」のほうが安定動作するのでは?と期待しています。

ファームウェアバージョン4.2.3

ファームウェアバージョン4.2.3で検証しています。
※記事執筆時点での最新版

それ以外の(古い)ファームウェアでも動作しますがファームウェアバージョンが異なると画面構成や用語(日本語訳含めて)が異なる部分が出てきます。

ファームウェアバージョン4.0.0でも本記事記載の手順で(一応)動作したので古くても大丈夫だとは思いますが、一応「ファームウェア4.2.3で検証しています」ということです。

また、ファームウェアバージョンに加えて「ファームウェアが初期化されている」ことを前提としています。

管理パネル(Admin Panel)メニューの「システム > ファームウェアをリセットする」からファームウェアを初期化しておいてください。

ネットワーク環境

我が家の回線環境は楽天ひかりのクロスパス(DS-Lite)接続環境です。

楽天ひかりではIPv4 over IPV6のクロスパスと従来の通信方式であるIPv4/PPPoEを提供していますが、今回はクロスパス(DS-Lite)を使います。

なお、GL.iNetトラベルルーターでDS-Lite(クロスパス)を使うための設定については以下の記事を参考にしてみてください。

また、動作確認用の回線(外出先を想定)として別途「NTTドコモhome5G」のホームルーター回線を利用します。

回線環境は何でもよい

我が家の環境は上記の通りですが、この記事の対象者の回線環境は何でも構いません。

従来のIPv4/PPPoEはもちろんのことMAP-eのv6プラス/OCNバーチャルコネクトやDS-LiteのTransix/v6connectなど、さらにはスマホのテザリング回線でも構いません。

また、同様に動作確認用の別回線(tailscaleクライアント)もパソコンとスマホのテザリングでもスマホ単体でもかまいません。

どんな回線環境でもサクッと繋がってしまうのがtailscaleの魅力なので!

事前にtailscaleにアカウント登録しておく

本題となるGL.iNetトラベルルーターの設定を行う前にtailscaleの利用登録およびGL.iNetトラベルルーターへクライアントとして接続するクライアント環境を作っておきましょう。

tailscaleの登録は(もちろん)無料、Googleアカウントなどですぐに利用登録が完了します。

また、外出先想定(VPNクライアント)となるパソコンやスマホへのtailscaleのアプリケーション登録もやっておきましょう。

すでにtailscaleのアカウントを持っている、すでにtailscaleを使っている、という方はこの章は読み飛ばしてください。

Tailscaleへの利用登録

まずtailscaleサービスへログインします。

Use tailscale | tailscale

tailscaleは以下のアカウントで利用することができます。

tailscaleで使えるアカウント

  • Googleアカウント
  • Microsoftアカウント
  • GitHubアカウント
  • Appleアカウント
  • OIDC(OpenID)アカウント

「Zero Trust」というやつであり、tailscaleでは利用者の個人情報を一切保持しません。

お好きなアカウントでtailscale登録を行い、無事利用者登録が完了したら「tailscale Admin Console」が表示されます。

利用者登録が完了したら「tailscale Admin Console」の「Download tailscale」リンクからtailscaleアプリケーションをダウンロードできます。

VPNクライアントを登録しておこう

tailscaleへの利用者登録が完了したらついでにクライアントアプリケーションをダウンロード・インストールしておきましょう。

これは本記事本題である「自宅ルーター環境の構築」のためではなく、その自宅ルーターへ外出先から接続するクライアント環境の構築作業です。

tailscaleアプリのダウンロード

アカウント登録したら次は登録するデバイス用のアプリをダウンロードしインストールします。

tailscale dwonload | tailscale

以下のデバイスに対応しています。

  • macOS
  • iOS(iPhone/iPad)
  • Windows
  • Linux
  • Android

スマホアプリ(Android/iOS)はQRコード読み取りでインストールできます。

macOS/Windowsはアプリをダウンロード後にインストールします。

Linuxはさらにディストリビューションごとに細かく分かれており、主要なディストリビューションに加えて「Raspberry Pi」でも使うことができます。

ここではWindows版をダウンロードしインストールします。

tailscaleアプリのインストール

Windowsの場合、ダウンロードしたファイルを実行しインストールします。

インストールが完了するとタスクトレイにtailscaleアプリのアイコンが表示されます。

tailscaleで自宅ネットワークをVPN接続

アイコンを右クリックしてメニューから「Login」をクリックします。

「Login」することで、アプリをインストールしたデバイス(今回はWindows10パソコン)をtailscaleへデバイス登録します。

tailscaleへのデバイス登録

ブラウザが起動しtailscale Admin Consoleへのログイン画面が表示されるので、利用者登録を行ったアカウントでログインします。

私はGoogleアカウントで登録したので「Sign with Google」でログインします。

アプリをインストールデバイス(今回はWindows10パソコン)とログインアカウントの関連付け確認がされるので「Connect」で関連付けを完了します。

関連付けが完了すると自動的に「tailscale Admin Console」が表示されます。

tailscale Admin Console上にデバイスが一台登録されました。

tailscaleは無料プランでも最大100台までのデバイスを利用登録できます。

「これも外出先から自宅へつなぎたいかもしれないけどよくわからないしどうしようかなやめておこうかな・・・」という場合でもとりあえず登録しておくとよいかもしれません。

これで外出先で使う環境(tailscaleクライアント)は出来上がりです。

GL.iNetトラベルルーターをtailscaleへ登録

クライアント(外出先パソコン)の環境はできあがりました。

ではVPNサーバーとなるGL.iNetトラベルルーター「GL-AX1800(Slate AX)」側の設定とtailscaleへのデバイス登録を行っていきます。

GL.iNetトラベルルーターのtailscale登録作業としては大きく「管理パネル(Admin Panel)」での設定作業と、そのtailscale Admin Console(tailscale管理画面)でのデバイス登録に分かれます。

管理パネル(Admin Panel)でtailscale有効化

管理パネル(Admin Panel)「アプリケーション > Tailscale」からtailscaleを有効化します。

以下を設定して「適用する」ボタン押下。

  • 「有効にするtailscale」をオン(右へスライド)
  • 「リモートアクセスWANを許可する」をオフ(左へスライド)
  • 「リモートアクセスLANを許可する」をオン(右へスライド)

以上でGL.iNetトラベルルーター側でのtailscale環境設定は完了です。

tailscaleへデバイス登録

GL.iNetトラベルルーターで環境設定したデバイス(トラベルルーター)をtailscaleへデバイス登録します。

GL.iNetトラベルルーター側での環境設定が完了すると、以下のような画面が表示されます。

この画面で「The Device Bind Link」というリンクが表示されるので、このリンクをクリックします。

上記のようなポップアップ画面に「デバイスとtailscaleの関連付け」を行うためのリンクが表示されます。

これをクリックして「デバイスをtailscale Admin Consoleへ登録」します。

tailscale Admin Consoleでのデバイス登録

GL.iNetトラベルルーターの「管理パネル(Admin Panel)」からブラウザが起動され、tailscaleログイン画面が開いています。

ここからはtailscaleの管理画面である「tailscale Admin Console」を使ってデバイス(GL.iNetトラベルルーター)の登録と設定を行っていきます。

デバイス(GL.iNetトラベルルーター)をtailscaleへ登録

tailscale Admin Consoleへのログイン画面が表示されるので利用者登録の環境でログインします。

ログインが完了するとこの時点でデバイス(GL.iNetトラベルルーター)登録が完了です。

我が家のGL.iNetトラベルルーターのマシン名は初期値では「GL-AXT1800」となっており、このマシン名でtailscaleへ登録されたことが表示されます。

「Connect」ボタンを押下するとtailscale Admin Consoleへ接続され、無事GL.iNetトラベルルーターが登録されました。

登録完了するとtailscale Admin Console画面へ遷移します。

tailscale Admin Consoleの見方

tailscale Admin Consoleでは、先に登録したクライアント環境と合わせて2台のデバイスが登録されているのがわかります。

左端はtailscale上での「登録マシン名」です(変更も可能です)。

中央はtailscaleネットワーク上でのIPアドレスになります。マシン登録を解除(Remove)するまでは同一IPアドレスとなります。

tailscaleのVPNネットワーク内においては、「登録マシン名」または「tailscaleのIPアドレス」での通信が基本となります。

右端は登録マシンの設定変更メニュー「…」です。

ここまでの作業により、上記2台のデバイスはtailscaleによりPeer-to-Peer型のVPNとして相互接続されている状態です。

上記の「マシン名」や「tailscale IPアドレス」を使って自由に通信できる状態になっています。

自宅ネットワークを「Subnet routes」として登録

ここまでの作業で2台のデバイスは相互にVPN接続されている状態になっており、すでにデバイス間通信が可能です。

これに加え、GL.iNetトラベルルーター(マシン名GL-AX1800)を「Subnet routes」として登録していきます。

「Subnet routesを有効化」とは、tailscaleへ自宅ネットワークを丸ごと登録する、というイメージです。

「Subnet routesを有効化」することで自宅ネットワーク(我が家のネットワークは初期値で192.168.8.0/24)がそのまま丸ごとtailscaleのVPN網に組み込まれる、という仕組みです。

つまり、tailscale VPNを使った通信網の中で自宅ネットワークである「192.168.8.0/24」をそのまま使える、という何とも理解しがたい機能です。

「Subnet routes」を有効化するデバイスは自宅ルーターである「GL.iNetトラベルルーター」です。

tailscaleへは「GL-AXT1800」の名前でデバイス登録されています。

この「GL-AXT1800」の右の「…」マークから「Edit route settings…」を選びます。

「Subnet routes」のスイッチをオン(右へスライド)し、「Subnet routes」を有効化します。

以上で「Subnet routesの有効化」は完了です。

自宅ルーター(GL-AXT1800)を「Subnet routes」として登録したことで、もう一台のクライアントは外出先からでも「192.168.8.0/24」のネットワーク端末として自宅ネットワークに接続することができるようになりました。

※もちろんtailscale IPアドレス(100.***.***.***)での接続も可能です。

tailscale VPN環境の疎通確認

tailscaleの環境構築が完了しました。

「デバイスの環境構築(アプリのインストール)」と「tailscaleへの登録(Admin Console)」が完了した、ということです。

現在のtailscale Admin Consoleでは以下のようなVPN環境になっています。

2台のデバイスがtailscale VPNデバイスとして登録されています。

そのうち自宅ルーターである「GL-AXT1800」は「Subnet routes」が有効化されています。

登録マシン名 用途 回線環境
GL-AXT1800 自宅ルーター 楽天ひかり
※クロスパス接続
windows10 Windows10 PC NTTドコモ「home5G」回線
※SPモード回線接続

そして、現在は確認のために「自宅ルーター(GL-AXT1800)は楽天ひかり回線(クロスパス)」「外出先パソコン(windows10)はNTTドコモhome5G回線(spモード回線)」という回線環境です。

また、自宅ネットワーク(GL-AXT1800配下)にはtailscaleへは登録していないwindowsパソコンが一台あります。

tailscale IPアドレスで疎通確認

まずはtailscaleの基本である「tailscaleから付与されたIPアドレス」でVPN内の疎通確認をしてみます。

外出先から自宅へtailscale IPで接続

tailscale IPアドレスを使って外出先パソコンから自宅ルーターの管理画面へ接続してみます。

いつも簡単に「管理パネル(Admin Panel)」へ接続することができました。

自宅クライアントから外出先PCへtailscale IPで接続

自宅ネットワークにはGL-AXT1800に接続されたWindows PCが1台あります(IP:192.168.8.216)。

このパソコンはtailscaleへデバイス登録していません。

このパソコンから外出先Windows10へtailscale IPアドレスでPINGを打ってみます。


C:\ping 100.***.***.129

100.***.***.129 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
100.***.***.129 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
100.***.***.129 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 45ms TTL=127
100.***.***.129 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 36ms TTL=127
100.***.***.129 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 36ms TTL=127
100.***.***.129 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 36ms TTL=127

100.***.***.129 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間(ミリ秒):
    最少 = 36ms、最大 = 45ms、平均 = 38ms

C:\

このように、tailscaleに登録されていない自宅パソコンからもtailscale IPアドレスを使って外出先パソコンへ通信することができます。

自宅のいつものIPアドレスで疎通確認

次に、こちらが本題の「いつものIPアドレスでVPN内の疎通確認」を行ってみます。

「いつものIPアドレス」とは自宅ネットワークである「192.168.8.0/24」のことです。
※tailscaleの「Subnet rutes」により実現している

外出先からいつものIPで自宅ルーターへ接続

外出先パソコンから自宅ルーター(GL-AXT1800)へいつものIPアドレスで接続してみます。

自宅ルーター(GL-AXT1800)のIPアドレスは初期値の「192.168.8.1」です。

このようにtailscaleを使えば外出先からでもいつものIPアドレスで自宅ネットワークへ接続することができます。

外出先からいつものIPで自宅パソコンへ接続

自宅ネットワークにはtailscaleへ登録していないWindowsパソコンがあります(IP:192.168.8.216)。

外出先パソコンから自宅のWindowsパソコン(tailscale未登録)へいつものIPアドレスでpingを打ってみます。


C:\ping 192.168.8.216

192.168.8.216 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
192.168.8.216 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
192.168.8.216 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 173ms TTL=127
192.168.8.216 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 35ms TTL=127
192.168.8.216 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 36ms TTL=127
192.168.8.216 からの応答: バイト数 = 32 時間 = 35ms TTL=127

192.168.8.216 の ping 統計:
    パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間(ミリ秒):
    最少 = 35ms、最大 = 173ms、平均 = 69ms

C:\

このように、外出先から自宅パソコン(tailscale未登録)へ、いつものIPアドレスで通信することができます。

以上でtailscale VPNの疎通確認とします。

アプリのインストールをしただけ、Subnet routesの有効化をしただけなのにこの高機能です。

しかも注目すべきは長らく悩みの種だった「IPv4 over IPv6(今回はクロスパス)でもつながる」という点です。

「導入が簡単」「高機能」なのがtailscale VPNです。

tailscaleの機能を使いこなす

セキュリティ鍵の有効期間

tailscaleはVPNソリューションなのでその仕組みの中には当然セキュリティ鍵が存在しますが、管理者・利用者をそれを意識する必要がありません。

これがtailscaleの最大のメリットのひとつです。

しかし、VPNセキュリティ鍵の漏洩によるセキュリティ被害を回避するため、tailscaleは初期値で「セキュリティ鍵の有効期限は180日」というルールがあります。

つまり、登録デバイス単位に180日ごとに新しいセキュリティ鍵を有効化する、という管理作業が発生します。

tailscale Admin Consoleのメニュー(Disable/Enable key expiry)からこの「セキュリティ鍵の180日ルール」を無効化/有効化することができます。

tailscaleの名前解決「MagicDNS」

本記事では自宅ネットワークを丸ごとtailscaleへ登録する(Subnet routes)ことにより「いつものIPアドレスで通信」することを目的としています。

しかし、基本はtailscaleから割り当てられたtailscale IPアドレスでの通信になります。

しかし、いちいちtailscale IPアドレスを覚えていられません。

こんな時に便利なのが「MagicDNS」であり、tailscale登録デバイス名による名前解決をしてくれます。

MagicDNSを使えばtailscale VPNネットワーク内において、tailscale登録デバイス名による名前解決が可能となります。

MagicDNSを有効化する

MagicDNSの使い方は簡単で、tailscale Admin Consoleから「MagicDNSを有効化」するだけです。

tailscale Admin Consoleの「DNS」メニューから「enable MagicDNS」をクリックしてMagicDNSを有効化するだけです。

MagicDNSを有効化することでtailscaleネットワーク内をtailscale登録デバイス名で通信することができます。

ドメイン名修飾もできる

tailscaleのDNS機能ではマシン名での通信機能だけでなくドメイン名修飾もできます。

ドメイン名修飾とは「マシン名.ドメイン名」という名前になるということで、「my-machine.my-domain.com」みたいな名前で使えるということです。

通常自分のアカウント内でのtailscale VPNネットワークは同一ドメインとなるためマシン名だけでアクセス可能です。

しかし、tailscaleでは複数のネットワーク(プロジェクト)を結合して大規模VPNネットワークを構築することができます。

この場合には複数ネットワークがインターネットのように相互に接続する形態となるため、ドメイン名修飾することでネットワークを識別します。

tailscaleドメイン名はすでに割り当てられていてDNSメニューで確認できます。

「tail*****.ts.net」というドメイン名が割り当てられており、利用可能です。

「Rename tailnet…」ボタンによりドメイン名を変更することもできます。

外出先から自宅サーバーを電源オン(WOL)

tailscaleを使うことで外出先からいつでも自宅ネットワークへ参加できる環境がサクッと作れます。

いつでも自宅にいるのと同じ環境でネットワークが使えるわけです。

しかし現実には自宅にいない、こんな時に「使いたいサーバーの電源が入ってない!」という場合が困るわけです。

こんな時に役に立つのが「WOL(Wake on LAN)」です。

マジックパケットを使ってコンピューターの電源をオンにする仕組みですね。

WOL(Wake On LAN)モジュールのインストール

GL.iNetトラベルルーターから自宅ネットワーク内のパソコンに対してマジックパケットを投げられる仕組みを作ってみましょう。

GL.iNetトラベルルーターの「管理パネル(Admin Panel)」上では提供されていないサービスですが、「詳細設定」のLuCIを使って直接OpenWrt上にWOLの環境を構築、そして外出先からWOLを使ってみます。

WOLのモジュールは管理パネル(Admin Panel)の「アプリケーション > プラグイン」からインストールすることができます。

画面上部のフィルター欄に「luci-app-wol」と入力してプラグイン一覧を絞り込みます。

一覧画面に「luci-app-wol」が絞り込まれたら右側の「インストール」を押下しプラグインをインストールします。

設定はこれだけです。

WOLを使ってみる

WOLは「詳細設定」であるOpenWrtの管理画面「LuCI」から利用します。

管理パネルメニュー「システム > 詳細設定」から詳細設定画面へのリンクをクリックするとOpenWrt管理画面「LuCI」が別タブで開きます。

GL.iNet GL-AXT1800(Slate AX)全機能紹介

詳細設定画面であるLuCIのログイン画面が表示されるので、管理パネル(Admin Panel)と同じパスワードでログインします(ユーザーは”root”)。

LuCIメニュー「サービス > Wake On LAN」を開きます。

Wake On LAN画面が開きます。

Network interface to use br-lanを選択
Host to wake up 一覧から電源オンしたいホストを選択

上記を選択したら「Wake up host」ボタンでマジックパケットが投げられます。

なお、Wake On LANによる電源オン機能はデバイス側の設定が正しく設定されている必要があります。

BIOS設定、ネットワークドライバー設定、Windowsの電源管理設定・・・などなど実際に外出先から使う前に自宅環境において十分テストしておく必要があります。

まとめ、もうVPNはtailscaleでいいじゃないか!

以上、話題のVPNソリューション「tailscale」を一通り使ってみました。

あまりにも簡単に、そして自宅ネットワーク丸ごと登録して使える高機能で、一体いままでVPN構築で苦労したのは何だったんだ!と思うすばらしいソリューションです。

とにかく、回線環境がIPv4 over IPv6環境であってもお構いなしにVPN接続できる点が魅力です。

超簡単にPeer-to-PeerのVPNネットワークが組める

tailscale無料プランでは最大100台までのデバイスを登録することができますが、今回はデバイス2台を登録しました。

上記のようにtailscale Admin Consoleに登録されたデバイスはそれぞれがVPNで相互接続(Peer-to-Peer)された状態となり、tailscaleから付与されたIPアドレスを使ってどの登録デバイスとも自由に通信することができます。

また、「MagicDNS」の機能を有効化しておけばtailscaleへの登録マシン名での通信もできます。

超簡単にPeer-to-SiteのVPNネットワークも組める

そして今回は「Subnet routes」を設定・有効化することで、自宅ネットワークを丸ごとtailscaleに登録しました。

この「Subnet routes」機能により、外出先からでもいつもの自宅環境と全く同じIPアドレスで自宅ネットワークに参加することができます(Peer-to-Site)。

「Subnet routes」で自宅ネットワークを丸ごとtailscaleへ登録することで、外出先からtailscaleに登録していない自宅ネットワーク内のデバイスへもアクセスできる、逆に自宅ネットワーク内のデバイスも外出先デバイスへアクセスすることができます。

自宅ルーターを「Subnet routes」として登録しておけば、いつでもどこからでも自宅にいるのと同じ環境でネットワークが利用できます。

これ、すごいですよね。

自宅だけでなく、仕事場とか帰省先(実家)とかのネットワークも全部登録したくなりませんか?
※Googleアカウント複数でtailscale登録すればよいので・・・

拠点間VPN(Site-toSite)は有料プラン

tailscaleの無料プランでは登録できるデバイスは最大100台です。

これは「登録デバイス」なので今回のように「Subnet routes」を使ってネットワーク丸ごと登録する場合は登録デバイスはルーター1台だけであり、ルーター配下に何百台・何千台のパソコンが繋がっていても「登録デバイスはルーター1台」です。

よって、無料プランでも登録デバイス数で困ることはありません。

ただし、無料プランの場合「Subnet routes」を同時に有効化できるデバイスは1台のみ、という制限があります。

つまり、拠点間VPN(Site-to-Site)を構築する場合においては有料プランを検討することになりますね。

とにかく何でもVPNでつながる

数年前までは「IPv4 over IPv6」でVPNを構築するのに悩んだものでした。いや、今でもIPv4 over IPv6環境でのVPN構築はむつかしいです。

tailscaleならそんなの関係ありません、なんならスマホのUSBテザリング/Wi-Fiテザリングでもつながります。

そもそもがスマホ本体もtailscaleでVPNデバイスになりますから。

tailscaleはインターネットにつながりさえすればどんな回線環境でも超簡単にVPN環境を構築することができます。

自宅ルーターのtailscale登録で自宅丸ごとVPN

自宅ネットワークを丸ごとtailscale VPNに接続することで、いつでもどこからでも自宅のネットワークに参加できるのはtailscaleの魅力です。

この環境構築の基本は「自宅ルーターをtailscaleにデバイス登録する」です。

しかし、一般的な家庭用ルーターにはこのようなtailscaleをはじめとした各種アプリケーションを登録することはできません。

これができるのが万能ルーター「OpenWrt」であり、OpenWrtを採用した高性能お手軽ルーター「GL.iNetトラベルルーター」です。

OpenWrtルーターを自作する

GL.iNetトラベルルーターを購入しなくてもOpenWrtルーターは自作することができます。

自作したOpenWrtルーターはもちろんtailscaleを徹底活用することができます。

でもちょっとだけ設定操作はGL.iNetトラベルルーターよりも面倒です。

tailscaleを使い倒せるGL.iNetトラベルルーター

tailscaleはGL.iNetトラベルルーターでは新しく採用された機能であり、各機種ファームウェアバージョン4.2.0からの対応となっています。

本記事記載の手順によってサクッとtailscale環境が構築できるGL.iNetトラベルルーターは以下3機種です。

GL-AXT1800(Slate AX)

本記事で使用した機種「GL-AXT1800(Slate AX)」です。

GL.iNet GL-AXT1800(Slate AX) WiFiルーターWiFi6 無線LAN VPN トラベル デュアルバンド 11 b/g/n/ac/ax 1201Mbps (5GHz) + 574Mbps (2.4GHz) OpenVPN&wiregurad対応 日本語設定画面
GL.iNet
【WiFi 6 ワイヤレスルーター】Slate AXは、デュアルバンド約1800 Mbps(2.4GHz 574Mbps、5GHz 1201 Mbps)のWi-Fi 6ネットワーク接続を強力に提供します。MU-MIMO、OFDMA、BSSカラーによりWi-Fiパフォーマンスを向上させ、最大120台のデバイスに同時接続することができます。

すでに旧型となりましたが、最新型「GL-MT3000(Beryl AX)」よりもお値段高く、旧機種ですが自分では「GL.iNetトラベルルーターの最高級品」だと思っています。

GL-MT3000(Beryl AX)

GL.iNetトラベルルーターの最新型であり最高性能のモデルが「GL-MT3000(Beryl AX)」です。

GL.iNet WiFi6 ルーター VPN 無線LAN トラベルIPv6対応 2.5Gbps WANポート ギガビットAX3000 574 Mbps+ 2402 Mbps WPA3 AdGuard Home VPN Client OpenVPN Wireguard 旅行 出張 技術サポート 日本語設定画面 GL-MT3000 (Beryl AX)
GL.iNet
【デュアルバンド wifi6トラベルルーター】スピードアップで快適なWi-Fi6!IPv6対応、ワイヤレス速度 574Mbps (2.4G)+2402Mbps (5G) のデュアルバンドネットワーク。2.5GマルチギガビットWAN ポートと1G ギガビットLAN ポート!コンパクトで、持ち運び便利なルーターです。【ご注意!使用の前に最新のファームウェアをダウンロードください:https://dl.gl-inet.com/?model=mt3000】

有線WANポートが2.5GbE対応となり、またWi-Fi6も前モデル「GL-AXT1800(Slate AX)」の2倍の速さで2401Mbpsです。

無線も優先も2.5GbEですね。

高性能なのに価格はGL-AXT1800(Slate AX)よりも安く販売されているのでお買い得かもしれません。

GL-A1300(Slate Plus)

前2機種よりスペックは結構落ちますがお値段も結構落ちます。

しかし、前2機種と同系列のファームウェアを採用していることから、前2機種と同等機能が搭載されています。

つまり「安くて高機能」ということです。

販売価格が1万円程度だしAmazonでは頻繁に20%~30%引きのキャンペーンを実施しているので、お買い得のGL.iNetトラベルルーターです。

結局どれがいいの?

ハードウェア性能はちょっと低いですがその分価格も安く、その割に上位機種と同じファームウェアによる高機能ということで、コスパで見るならGL-A1300(Slate Plus)をおすすめします。

予算があるなら高性能モデル「GL-AXT1800(Slate AX)」をおすすめ(私が使っているので・・・)。

最新機種「GL-MT3000(Beryl AX)」は高性能すぎてちょっと怖いですね、ルーターやスイッチングハブなどの2.5GbE/10GbEのネットワーク機器でも不具合が多く発生している状況であり、GL-MT3000(Beryl AX)はちょっと頑張りすぎなんじゃないでしょうか?

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